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初めて三島由紀夫を読む前に!作風や生い立ち、おすすめの作品を押さえよう!

初めて三島由紀夫を読む前に!作風や生い立ち、おすすめの作品を押さえよう!

戦後を代表する作家として有名な三島由紀夫。その個性溢れる人生は数々の作品に反映されています。今回は、初めて三島由紀夫を読む人へ、三島由紀夫の人物像や彼の生きた時代、そして初心者にオススメの作品までを一挙にご紹介します。

コダケン

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コダケン

プロレス好きカルトライター


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目次

1.初めて三島由紀夫を読む前に

三島由紀夫と言えば名前くらいは聞いたことがある、という人も多いでしょう。2020年3月には「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」というドキュメンタリー映画が公開され、三島由紀夫、そして三島文学に再度注目が集まっています。そんな三島由紀夫の作品を読む前に、まずは彼がどんな人物だったのかを知るのもまた、楽しみ方の1つです。

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自決九ヵ月前。最後の長編小説「豊饒の海」第三巻『暁の寺』脱稿日に語られ、公開されることのなかった貴重なインタビュー音源が発見された。文学観、芸術観、戦後観を語るその口調に、従来のイメージをくつがえすような素顔の三島が表れている貴重なインタビュー。大反響を呼んだ第一級の資料を全文公開!

三島由紀夫はどんな人?

三島由紀夫は大正14(1925)年1月14日、東京都で生まれました。本名は平岡公威(ひらおかきみたけ)と言います。生まれて間もなく祖母の監視の下で育てられるようになり、男の子らしい遊びの禁止、おやつの制限など三島由紀夫を厳しく管理しました。学習院初等科に入った彼の国語の成績は中程度のものでしたが、中等科に入ってからその才能を開花させます。文学部への進学も考えていた三島由紀夫ですが、父の勧めにより東京大学法学部へ入学。そこで身に着けた法学は、後の作品に大いに役立ったと言われています。

三島由紀夫は作家としての一面とは別に、政治活動家、帝国主義者としての顔も持っていました。特に晩年は自衛隊への体験入隊や民兵組織「楯の会」結成など、政治的活動に積極的に。そして昭和45(1970)年11月25日、自衛隊市谷駐屯地で総監を監禁し、バルコニーで演説を行った後、割腹自殺をしました。「三島事件」と称されたこの一件は、政治運動、そして日本の文学界に大きな衝撃と影響を与えるものとなりました。

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ノーベル文学賞候補にも

三島由紀夫というと、作家でありながら前述の通り政治活動家としての思想や言動が大きく取り上げられることも多いですが、実は彼の作品はノーベル文学賞候補にもなる、つまり世界的に認められるほど素晴らしいものでした。

昭和43(1968)年に日本人で初めてノーベル文学賞を受賞した川端康成も「三島由紀夫君が若すぎるということのおかげです」と謙遜のコメントを述べており、三島由紀夫の作品が国内外で高く評価されていたことが分かります。

ではなぜ三島由紀夫はノーベル文学賞を受賞できなかったのか。それは当時の日本の「年功序列」が大きく関係しており、川端康成の言葉の通り彼が「若すぎた」ことが理由だと言われています。「三島由紀夫は若いからまだチャンスがある」という選考者の考えもあり、川端康成に受賞が決まったのだそうです。

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文豪と呼ばれ、国内外において日本を代表する作家である川端は、いまだ全集からもれた文章や、公開されていない資料も多く、その生涯に不明なところが多い。川端の残した作品や公開された日記・書簡をベースに、当時の新聞記事や交友のあった作家らの回顧録などあまたの資料・記録や関係者への取材から、その生活を再現する。

三島由紀夫の作風は

そんな三島由紀夫の作風を一言で表すと「衝撃的」です。彼の作品は読むのが楽しかった人、読むのが辛い、苦痛に感じたという人に大きく分かれることも多いです。それは、三島由紀夫の作品に使用される言葉が読み手の心に突き刺さるような、強い衝撃を与えるようなものだからです。

言葉を繊細に汲み取る読者は三島文学の世界にのめりこむことができ、言葉の表面をなぞる人にはただただ難しい文学にしか感じられないようです。とはいえ、その語彙力、表現力の素晴らしさに心を揺さぶられる読者も多いことでしょう。

2.初心者にも読みやすい三島由紀夫作品

ここからは、初めて三島由紀夫の作品を読む人におすすめの作品をご紹介します。彼の作品は単純なストーリーや登場人物の境遇を持たず、複雑な出来事や心境の描写がなされていることが多いです。しかし、そのどこかに「あ、この気持ちわかる」「似たようなことがあったかも」と共感できるような部分があります。それに気づくことができれば、三島文学に飲める込むことができるはずです。

三島由紀夫オススメ①仮面の告白

「仮面の告白」は三島由紀夫が24歳のときに書いた長編小説です。同性愛という人と違う性的趣向に悩む主人公が、自身の生い立ちからを見つめ直し「告白」する、そんな物語となっています。同性愛が今よりも「異質」であった時代に、それを堂々とテーマにして書かれたこの作品は多くの注目を浴び、三島由紀夫が作家として成功を収めるきっかけにもなりました。

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三島由紀夫の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と、作家活動のすべてを予見し包含した、戦後日本文学の代表的名作。

三島由紀夫オススメ②午後の曳航

「午後の曳航」は横浜を舞台にした長編小説で、主人公の少年と彼を取り巻く人間の間に起こる様々な出来事と、彼の心を描いた作品です。彼の憧れていた船乗りと母の関係、海の男が陸に馴染んでいくことへの怒りや絶望から、彼は仲間と共に「大人の世界」に反撃をします。前編・後編からなるこの作品は、ありがちな世界観が崩壊していくさまがありありと描かれており、世界各国からも評価を受け、映画やオペラとして上映されました。

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船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

三島由紀夫オススメ③沈める滝

愛を信じない青年と、不感症の女性の間に人工の愛を創ろうという内容です。青年がダム建設を行う冬ごもりの間、手紙だけでやり取りをする中での2人の心の変化だけでなく、自然環境と人間社会の対比なども同時に描かれています。「人工の愛」というのは非常に現代に合ったテーマであり、「沈める滝」が初めて連載された昭和30(1955)年の時点でこのようなテーマを扱う三島由紀夫の先見の明に驚きと感心を覚える、そんな作品です。

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既成の愛を信じないという立場に立って、その荒廃の上にあらためて人工の愛の創造を試みた、三島文学の重要な作品。

3.三島由紀夫好きならコレも読んで!オススメ作家

読み手の心に大きな衝撃を与える数々の名作を生みだした三島由紀夫。初めてでも読みやすい作品はまだまだありますし、もっと三島由紀夫の世界を知りたければより多くの作品を読むのもオススメ。しかし、ただ三島由紀夫を読むだけじゃつまらない!という場合には三島由紀夫に影響を与えた作家、そして三島由紀夫の影響を受けた作家の作品にも手を伸ばしてみるのはいかがでしょうか?

オススメ作家①稲垣足穂

稲垣足穂(いながきたるほ)は、明治33年生まれの小説家で、対象の終わりから昭和後期にかけて多くの作品を発表しました。三島由紀夫が尊敬する、影響を受けた作家は多く存在しますが、その中でも稲垣足穂は比較的マイナーな作家ですが、三島由紀夫の後押しにより「少年愛の美学」という作品が第4回谷崎潤一郎賞の候補に、その後第1回日本文学大賞を受賞しました。

そんな彼の代表作「一千一秒物語」は、短い小説(掌編群)70編を収めたもので、その内容は現実離れしたファンタスティックなものが多いです。大正時代に書かれた作品とは思えない現代的な文章が特徴的で、独特な世界観は時代の変わった今も読み手を魅了し続けています。

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少年愛、数学、天体、ヒコーキ、妖怪…近代日本文学の陰湿な体質を拒否し、星の硬質な煌きに似たニヒリスティックな幻想イメージによって、新しい文学空間を構築する“二十一世紀のダンディ”イナガキ・タルホのコスモロジー。表題作のほか『黄漠奇聞』『チョコレット』『天体嗜好症』『星を売る店』『弥勒』『彼等』『美のはかなさ』『A感覚とV感覚』の全9編を収録する。

オススメ作家②平野啓一郎

平野啓一郎は昭和50(1975)年生まれの小説家です。彼は14歳の頃に三島由紀夫の「金閣寺」を読み、大きな衝撃と影響を受けました。その後1999年に芥川賞を受賞し、2005年には三島由紀夫賞選考委員に最年少で就任。2020年には芥川賞選考委員に就任し、またドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」でも三島由紀夫について語っています。

そんな平野啓一郎の代表作といえば「マチネの終わりに」です。2017年に第2回渡辺淳一文学賞を受賞したこの作品は、クラシックギタリストと婚約者のいる一人の女性との物語です。すれ違ったまま関係は途絶えてしまいますが、気持ちは変わらないまま別々の道を歩む2人が再び出会うことはあるのか…。恋愛と様々なテーマを絡ませたこの作品は人気を集め、2019年11月には福山雅治・石田ゆり子主演で映画化もされました。

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天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という“人生の暗い森”を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられないロングセラー恋愛小説を文庫化!

三島由紀夫作品から読書の世界の扉を開こう

三島由紀夫の作品は多くの人に衝撃を与える素晴らしいものです。彼の作品に影響された作家も多く、亡くなって50年経った今も、三島文学は生き続けています。そんな三島由紀夫の作品、三島由紀夫の世界に浸るのも良いですが、様々な作家の作品へと世界を広げていくのも読書の楽しみ方の1つです。

初めての三島由紀夫をきっかけに、去年より1冊でもたくさんの本を読めると良いですね。

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自決から50年、三島にとって政治とは、そして天皇制とは何だったのか。赤坂憲雄×安藤礼二、大澤真幸、中島岳志、古川日出男など

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