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自分で使いたい器を作る醍醐味!陶芸をはじめてみませんか

自分で使いたい器を作る醍醐味!陶芸をはじめてみませんか

素敵な器に料理を盛り付けるとテンションが上がりませんか。しかもそれが自分の手作りなら、さらに気持ちがUPします。陶芸の楽しみは、自分で使いたい、オンリーワンの器を作れること。今回は、陶芸を始めるときのポイントについてお話しします。

Evelyn

この記事のアドバイザー

Evelyn

スローライフ派/元編集者


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目次

1.陶芸ってそもそもどういうもの?

やきものは2種類、陶器と磁器

一般的に「陶芸」とは、「陶器」と「磁器」を作るプロセス全般を指します。「陶器」「陶磁器」などとひとくくりにされますが、陶器と磁器は、原材料も、作られる過程も、器の質も異なります。

・陶器とは
陶器は「粘土」から作られるやきものです。土を練って捏(こ)ね、空気を抜いて形をつくり、およそ800~1300℃の火で焼いてつくられるものです。

陶器は縄文時代からあり、4世紀ごろ唐からろくろや窯の技術が伝わったのち、戦国時代では茶の湯が流行、茶器をはじめとした文化興隆が起きました。信長、秀吉の時代には「大名物(おおめいぶつ)」と呼ばれ、戦国武将たちの取引の対象にもなりました。

見た目に優しく素朴な風合いのものが多く、比較的厚手で重さもあり、指ではじくと鈍い音がします。熱伝導率が低いため、熱しにくく冷めにくいという特徴があり、食器類の他に土鍋や釜などの炊きもの用の鍋としても重宝されます。また、重さもあることから、花器や傘立て、オブジェなどの製品も多く作られます。信楽のたぬきの置物などはこのたぐいですね。

陶器

・磁器とは
磁器は「陶石」から作られるやきものです。石を砕いて粉末にしたものを水に溶いて練り、形成してから1300~1400℃の高温で焼いてつくられます。

磁器は、10世紀の中国で、高温での焼成に耐え薄造りの器となる石が発見され、青磁器や白磁器が作られるようになったのが最初です。繊細で美しいフォルムの磁器は、東インド会社などの海路でヨーロッパに渡り、大流行しました。チャイナ(china)とは今でも英語で磁器を意味します。そこからヨーロッパ各地で磁器を作る洋食器のメーカーが生まれて行きました。特にイギリスのウェッジウッドが始めた器は、磁器の元になる石の代わりに牛の骨を使ったので、「ボーン・チャイナ(bone china)」と呼ばれています。

ガラスのような硬さと滑らかさを活かした器が多く、指ではじくと「チン」「ピン」といった澄んだ音がします。陶石のもともとの白さ、光が透ける性質から、白地に絵付けをしたものが主流です。熱伝導率が高く、熱しやすく冷めやすい特徴があり、また基本的に薄手で軽いものが多いため、一般的な食器類に用いられています。

磁器

はじめて陶芸にチャレンジする時、つくるものはやはり土を使う「陶器」になります。

陶器・磁器どちらも、作陶にはそれなりの設備が必要なため、「陶芸教室」と言われる場所で行うことになりますが、ほとんどの陶芸教室でつくるものは「陶器」です。原料を練って形成し焼くというプロセスそのものは同じですが、土でつくる陶器の方が原料が安価で手軽なのが理由です。また、磁器の作陶に詳しい方があまり多くないこともあるかもしれません。

ここでは、陶芸教室で「陶器」作成に初めてチャレンジする「陶芸体験」をやってみることを念頭においたうえで、陶器の作り方についてお伝えします。

陶器をつくる、一般的なやり方

①土を捏ねる
陶器づくりはまず「土を捏ねる」ところから始まります。陶器の土は、土の産地にもよりますが、白っぽい色の土もあれば、赤い色の土、深い茶の色の土もあります。産地によって土の状態がさまざまで、それが各地域の陶器の特徴にもつながります。

ですが、作り方はほぼどこも同じ。まず粘土を捏ね、中に含まれる空気を出します。空気が含まれていると、窯で焼いているときに空気が膨張して割れる原因になるので、できる限り密な状態にするために練る過程が必須になります。繰り返し練った状態が菊の花に似ていることから「菊練り」と呼ばれます。

②成型
練った粘土から、形を作っていきます。作り方はいろいろありますが、一番「陶芸」と言ってイメージされる作り方は「ろくろ作り」ですね。それから「手びねり」「たたら作り」などが一般的です。形が安定するまですこし乾かし、その後削りや高台(こうだい:器の裏の足の部分)などの仕上げを行います。

③乾燥
形成された土は、まだ水分を含んで柔らかい状態です。その状態で素焼きをすると水分のせいで破裂してしまうので、まんべんなく完全に乾かします。

④素焼き
完全に乾いた作品を、700~800℃前後の低温で焼きます。焼くことで陶土そのものが締まり、強くなって水を通さなくなるのです。

⑤釉掛け
素焼きした作品に釉(うわぐすり)を掛けます。いわば作品の化粧です。どんな釉をどんなふうに掛けるかは、陶芸を行う人の腕の見せどころのひとつでもあります。

⑥本焼き
窯に入れ、1200℃以上の温度で焼き締めていきます。本焼きは、酸素を十分送りこんだ状態で焼く酸化焼成と、酸素を送り込まずに不完全燃焼させる還元焼成の方法があります。酸素の有無で、釉の中の金属成分の化学変化が変わるので、焼成の仕方によって、同じ釉でも仕上がりが全く異なります。

本焼きをしたあと、さらに絵付けをしたい場合は、この後に絵付けを施して再度低温で焼くことになります。

上記のように、陶器を作るのは多くのプロセスを踏む必要があります。ですがこれらのプロセスひとつひとつに、それなりの時間がかかるのです。陶土を捏ねて、成型し仕上げるところまでは、およそ半日もあればできてしまいます。

ですが、乾燥におよそ10日~2週間、素焼きに1日、施釉はすぐできますが、本焼きに1~3日かかります。ひとつの器をつくるのに、これだけの日数が必要なのです。なので、陶芸体験をする場合は、このプロセスの中の「成型」のみ1日で、もしくは「成型」と日をあけての「施釉」の2プロセスを2日にわたって、といったプログラムになるのが普通です。

2.手びねりで茶碗をつくってみよう

陶器の成型をすることが「陶芸体験」のメインイベントと言ってもいいでしょう。器作りはろくろを挽いて作るのが一般的なイメージですし、憧れの方法でもあるのですが、実は初心者にろくろはけっこう難しいのです。もちろん陶芸体験でろくろを挽かせてくれるところもありますが、ここではもっと気軽に器作りのできる「手びねり」の方法を紹介します。

手びねりの工程には「玉作り」と「紐作り」の2つの方法があります。手びねりの前の菊練りの工程は、初心者には難しいので、すでに練られている粘土を扱うところから体験するのがほとんどです。粘土は成型して焼くと10~15%ほど縮みます。なので、形を作る時は、目指す大きさよりも「気持ちふたまわり」大きく作ることを心がけるといいでしょう。

なお、粘土を扱う時は爪は切っておきましょう。成型するときに爪の跡が粘土についてしまうのを避けるためです。

玉作りから立ち上げまで

①菊練りが終わってよく練られた粘土を、作りたい器のおおよその量の分手に取り、丸いおだんごに丸めます。湯呑みなら500g程度です。この時、しわができないようよく丸めておくと、後からの成型が楽になります。

②丸めたおだんごを手ろくろのど真ん中に置きます。ぐるっと回してみて、中心がぶれていないかどうかを確認しましょう。

③おだんごの真ん中に親指を押し込むようにして開口部を開けます。この時、親指がおだんごの底まで突き通さないように加減しましょう。

④親指を垂直に立てて、底に近い壁面を外に少しずつ押し広げるようにしながらろくろを回し、外側の指で形を整えていきます。

おだんごの真ん中に親指を押し込むようにして開口部を開けます。

⑤外に広げたところを、親指と外側の指で挟み、両手でつまむように上に立ち上げます。立ち上げは底に近いところから作っていきます。そのとき、厚みが均等になるよう意識して立ち上げていきましょう。

紐作りから立ち上げまで

①菊練りが終わってよく練られた粘土を丸め、そこから器の底になる分を取り、丸めて手ろくろの真ん中に置きます。手のひらで押して広げ、1.5cmほどの厚みにします。

②ろくろを回しながら竹ぐしで底の大きさのアタリをつけ、余りをカットします。

余りをカット

③粘土を1/4ほど取り、いったんサツマイモ状態に丸めたあと、広い台の上で両手を使ってひも状に丸めながら伸ばしていきます。できるだけ均等に丸く伸ばし、直径1~1.5cmの紐を作ります。両手は大きくパーの状態で転がすと、均等に丸い形にしやすいです。

④②で作った底の縁に水かドベ(水溶き粘土)を塗り、紐を縁にそって丸く乗せていき、余りはカットします。乗せる時に底の粘土と一緒になじむよう、上からならすようにしていきます。

上からならすようにしていきます。

⑤紐の外側は、下から上へならすように撫で上げてなじませ、形をつくっていきます。底をならしながら、立ち上げる部分が均等の厚さになるように整えます。一番上はさらに紐が乗るため、少し厚みを持たせます。

⑥1段目がなじませ終わったら、その1段目の上、立ち上げた壁の少し内側部分にもう一周紐を乗せて、同じようになじませていきます。

内側は上から下へ、外側は下から上へなじませるのが基本です。なじませたところを、親指と外側の指で挟み、両手でつまむように上に立ち上げていきます。そのとき、厚みが均等になるよう意識して立ち上げていきましょう。

⑦自分で作りたい大きさに立ち上げ終わったら、両手を使って全体のゆがみを直します。

立ち上げから成型へ

玉作りもしくは紐作りでおおよその形に立ち上げがすんだら、全体的な成型と仕上げをしていきます。

①全体的な形を整える
立ち上げの際についた指の跡をていねいにならしながら、全体的な形を整えます。器のひらきのカーブが均等かどうかも確認しましょう。

全体的な形を整えます。

②外側と内側をスポンジで仕上げる
ていねいにならした壁面をスポンジでさらに滑らかにしていきます。形を作っている最中、粘土はどんどん乾燥してヒビができてきます。これを指でならしてしまうと、中に空気が入ってしまうので、湿らせたスポンジでやさしくなで、水分を補給しながら全体的に張りを持たせましょう。

③口の部分を水平にカットする
立ち上げた後の口の部分を、「弓」という道具で水平にカットします。弓を持つ手は肘をついて高さと角度をぶれないようキープし、もう一方の手で台を回していきます。

水平にカット

④カットした口を滑らかにする
弓でカットした口の縁に、濡らしたなめし皮をあて、口当たりが良くなるよう滑らかにしていきます。

⑤高台(こうだい)を作る
高台とは、器の底にある、卓に接する部分を言います。④までに成型した器を少し乾かした後、伏せて底の部分を上にします。高台になる部分に丸くアタリをつけ、カギべらを使って外側を削っていきます。器に穴をあけないように注意しましょう。

外側の削りがすんだら、高台の内側も削っていきます。

高台の厚みと、口べりの厚みが均等だと、バランスのよい高台になります。成型のうち、最後の高台の削りは少し難しいので、体験では行わないところもあります。

3.陶芸の体験、選ぶポイント

体験できるコースを吟味する

ひとくちに「陶芸体験」と言っても、さまざまなところがあります。絵付けだけを行う楽焼きの体験もありますし、菊練りから焼成までがっつり数日間体験させてくれるところもあります。観光地やクラフトパークのような場所で行う陶芸体験は、その場所に1~2時間程度しかいられないこともあり、ある程度体験させてもらえるメニューが固定になっていますし、使える粘土の量も少量であったり、かける釉薬の種類が選べないなど、あまり自由度がないことも多いです。

とりあえず陶芸の体験をしてみたいのか、それともしっかり自分で使える器をこだわって作りたいのかによって、選ぶ体験のコースも変わってきます。

・お気楽なお試し体験メニュー例
玉作りか紐作りで器をつくる体験のコース。菊練り済みの粘土を使って手びねりで成型まで行います。高台は教室で削ってくれます。釉は2~3種類から選び、1色のみの仕上げになります。

体験時間はおよそ1~2時間、約1ヶ月後に教室に取りに行くか、自宅に郵送してもらうことになります。

・比較的しっかり体験するメニュー例
手びねりが基本ですが、ろくろを挽かせてくれるところや、たたら作りをさせてくれるところも。菊練り済みの粘土を、数種類作れるくらいの量で作業させてもらえます。時間がたっぷりある場合は、軽く乾燥後、高台の削りまで体験させてもらえる場合もあります。釉薬はやはり数種類からのセレクトになりますが、白化粧をほどこすことができたり、焼き締めやたすき掛けなどのちょっと変わったものにもチャレンジできたりします。

体験時間はおよそ3時間前後、焼きあがったものは取りに行くか郵送かを指定します。

・かなりがっつり体験するメニュー例
ろくろ中心の体験が多いです。ろくろの扱い方を丁寧にしてもらえて、ろくろを挽いた時の厚さのムラなども縦割りして確認するなど、本格的な指導に近い体験ができます。また、別の日に施釉の体験もでき、その教室で使える釉について説明を受けた上で選択させてもらえます。

かけ流しなどの釉掛けや、絵付けなども行えます。陶芸体験というよりは、その教室に入るためのお試し体験と言えます。

体験する教室の特色を見る

観光地やクラフトパークの陶芸体験ではなく、街中にある陶芸教室の体験に行く場合、その教室の特色も知っておきましょう。有名な陶器の産地の教室なら、その陶器の特徴を学んだ上での体験ができます。使っている土も釉も特殊なものであったり、他の地域ではないような色や形のものであったりします。たとえば岐阜県の美濃焼の近辺の教室なら、織部や志野といった特徴のある器を自分で作る体験ができますし、岡山の備前市に行けば備前焼の体験は多くの場所で行っています。

また、教室の指導の方針によっても、体験のメニューが変わります。指導者がご自身の作陶メソッドをお持ちの場合は、そのメソッドに従ったメニューになりますし、全くの自由作陶を教室の生徒さんに推奨している教室では、どんなものを作ってもOK、と言われます。

どの程度の指導があり、どの程度の自由度があるか、実際に体験してみないとわかりませんが、体験で作る器の画像と自分の作りたい器のイメージが近いかどうか、それを確認してから申し込むといいかもしれません。

他の生徒さんの作品も見せてもらおう

体験に行ったら、その教室に通っている生徒さんの作品も見せてもらいましょう。教室での指導は、毎回テーマがあって、そのカリキュラムに従って教えているところもありますし、本当にフリーダムに好きに作らせているところもあります。また、生徒さんの作品から、どのような指導をされているのか、確実に技術の上がる指導を受けているのか、指導側からの面白い提案があるのか、といったことが、意外に読み取れるものです。

そんなことからも、自分の好みの器が作れるかどうか、ある程度判断できるのではないでしょうか。陶芸教室ではHPを持っているところも多いです。体験の詳細だけでなく、生徒さんの作品の紹介ページも見て、どんな教室なのかイメージを持ってみてください。

最初の作品から、自分好みの器を目指していこう

陶芸は「自分で使える器を自分好みに作る」という点で、とても実用的な趣味です。これまで未体験だから使えないものでもしかたがない、と思わず、最初から「普段使いの器」を作ることを目指しましょう。そのために、体験の一連の流れ、どういうことをするかを知っておくことは必要です。

技術不足はその都度ていねいに補ってもらえます。大事なのは、どういう器をつくりたいか、自分でしっかりイメージしていくこと。このイメージがはっきりしていて「こういう器をつくりたい」と体験のときに伝えることができれば、体験で教えて下さる側も、できるだけイメージに沿うよう手伝ってくれます。

自分で使える器を作り、それを毎日使える喜びは、なかなか得難い経験になりますし、自分で作った器は、たとえちょっといびつな形でも、かわいいです。ずっと愛用していける器を、初めての陶芸体験で、ぜひ作ってみて下さい。

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Evelyn

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