
日本人なら一度は見たい!伝統文化、はじめての歌舞伎を楽しむコツ!
2020.07.11 | 430view
日本の伝統芸能である歌舞伎。「興味はあっても、ご贔屓さんの存在や演目の難しさもあり、なかなか初めて観劇するにはハードルが高い。」そんな歌舞伎のイメージを、歌舞伎の人気演目や初心者向けの講演、マナーをご紹介することで親しみやすくなるようご紹介します。
目次
1.歌舞伎って何!?何をする舞台なの?
歌舞伎が日本の伝統芸能なのは知っているけど、内容は難しいし、「ご贔屓さん(ごひいきさん)」がいたり、敷居が高い、と思っていませんか?
確かに、歌舞伎の演目は古典が主流で内容は馴染みが薄く、言葉も理解するのは難しい面もあります。でも、最近はスーパー歌舞伎のように若者向けの演目があったり、歌舞伎俳優がドラマに出演することで見かけることが増えたり、歌舞伎も新しい芸術に生まれ変わり、距離がぐっと近づいただけではなく、古典の演目も初心者でも楽しめる見方ができるんです!
今回はそんな日本の伝統芸能である「歌舞伎」を初心者でも楽しめるよう、ご紹介と楽しみ方のコツについてお話しいたします!
歌舞伎の歴史と現代までの流れ 〜伝統と進化を繰り返しています!〜
歌舞伎の歴史は400年以上前に遡ります。歌舞伎の起源は京都で「出雲の阿国(いずものおくに)」と呼ばれる、巫女をやっていた女性が「かぶき踊り」と称される踊りを踊ったことから始まります。そもそも「かぶき」とは「傾き」からきており、常識から傾いた、つまり常識はずれな人のことを「かぶき者」と呼んでいました。そんなかぶき者たちの派手な行動や装いの場面を踊りにしたことから「かぶき踊り」が始まったのです。
現代の歌舞伎も演者は全て「男性」で女性の役は「女形(おんながた)役者」と呼ばれる男性役者が演じます。出雲の阿国は女性で、女性や若者によるかぶき踊りが初期は広まったのですが、風紀の乱れを幕府が案じて禁止され、男性役者による「野郎歌舞伎(役者全員が成人男性)」のみ発展していったことが現代にも残っていると言えます。
その後、元禄(1600年代後半から1700年代初期)の時代には、踊りというよりは今日のようなストーリー性を含んだ演劇の形式になり、芝居小屋も増えるようになります。さらに享保(1700年代前半)には舞台としての歌舞伎が発展し、舞台の作りや演出、役者の芸風が現代で上演されているのと同じ形式に出来上がりました。
明治になると、侍の時代から新時代の様子を描いた演目が上映されるようになるなど、決して決められた伝統の演目のみが脈々と演じられる、というわけではなく、歌舞伎の演目は現代のスーパー歌舞伎は生まれたように、その当時の世相を反映し、常にその舞台や内容は進化しているのです。
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歌舞伎の観劇は敷居が高い?歌舞伎を観劇するにはマナーやルールがある?
歌舞伎の歴史を見てもわかるように、歌舞伎は本来常識はずれな「かぶき者」を扱い、人々の関心を集め、時に風紀を乱すと行って幕府や政府の取り締まりが起きるほど、「庶民に根付いた文化」です。そのため、誰でも観劇を気軽にできて、題材も庶民がわかるような日常を描いたものが多いため、歴史的な演目を理解するという難しさはあるものの、敷居は高くない芸能である、と考えましょう。
そして、観劇にあたってのルールも、舞台の写真撮影をしない、飲食や私語は厳禁、と行った常識的なものばかりです。ドレスコードなどは必要ありませんし、歌舞伎の上演時間は長時間であることがほとんどなので、疲れず長い時間演目が楽しめる服装で観劇しましょう。(当然、座席に座って観劇するため、後ろの席の人に影響する高さのある髪型や防止などはNGです。)
もちろん、日本の伝統芸能で、めったにない観劇機会なので、張り切っておめかししたり、着物を着用する、という方もいらっしゃいます。自由に自分が一番歌舞伎の観劇を楽しむことができる服装でOKです。
ご贔屓さんって何?
ご贔屓さん、と言われると「常連客」のようなイメージがありますが、ご贔屓さんは常連客ではなく、歌舞伎の上演に当たって、経済的な支援をするパトロン的な意味です。なので、単純に歌舞伎の観劇に足繁く通い、常連となっても、ご贔屓さんに慣れる、というわけではありません。
それこそご贔屓さんは歴史的に歌舞伎の世界を援助してきた方達をさし、現代においても、企業の重役など舞台のチケット代のみならず、舞台の存続や上演に当たって、多額の資金援助をしている人たちを意味します。
2.歌舞伎はどこで見れる?
歌舞伎はどこの劇場でやってるの?チケットは取りにくい?
規模が大きく、有名な歌舞伎の施設は東京にある「歌舞伎座」「新橋演舞場」、また「国立劇場」、京都の「京都四条南座」、大阪の「大阪松竹座」と行ったところでしょうか。
しかし、都市部以外にも歌舞伎上演のための施設は全国で約20施設あり、各地方で観劇が可能です。都市部の大きな舞台だけではなく、地方には歴史が色濃く、舞台も手狭だからこそ演者の表情や声がよくわかり、小劇場ならではの良さがある施設が多いので、地方旅行の際に歌舞伎を見てみる、というのもおすすめです。
歌舞伎のチケットもインターネットやプレイガイドなど、現代の他の演劇やライブチケットを取得するように取得が可能です。当日券は劇場の窓口にも出回りますので、ふらっと歌舞伎が見たくなった!や旅行の際には当日券を狙いましょう。
ただし、人気の俳優が出演する演目であったり、上席以外にもお手頃な価格で観劇できるチケットはすぐに予約が埋まっていきます。歌舞伎も根強いファンが多いので、見にいきたい演目や俳優が決まれば、早めに席は押さえておきましょう。
初心者でも歌舞伎を楽しむために、やっておきたいこと
さて、歌舞伎の観劇が決まったら、歌舞伎の世界をより楽しむためにやっておきたいことがあります。それは、見に行く演目のストーリー(あらすじ)を理解しておくこと。
歌舞伎で演者が発するセリフは現代で話されている日本語とは異なり、初めて観劇する人がその場で理解できるものではありません。俳優の立ち居振る舞いや雰囲気を楽しむには良いですが、長い歌舞伎の舞台を飽きずに過ごすにはストーリーは事前に知っておきましょう。
演目の内容をインターネットなどで読んでおくことはもちろん、会場にもあらすじの書かれたパンフレットや無料でもらえるチラシもありますよ。
また、舞台の進行や役をリアルタイムで説明してくれる「イヤホンガイド」のレンタルができる演目も多いです。筆者も初観劇の際はもちろん、何度足を運んだ演目であったとしても、より舞台の内容を理解するために毎回利用します。イヤホンガイドの説明が観劇の邪魔になる、と思えば使用をやめても良いですし、聞くことより世界観がわかる、という場合は使い続けるなど、1度使用し、あなたに合った使い方を見つけてみましょう。
また、歌舞伎の演目の内容以外にも、お気に入りの俳優を見つける、という楽しみもあります。最近では、人気の歌舞伎俳優は歌舞伎だけではなく、テレビドラマに出演したりと身近になりつつあります。
お気に入りの俳優がテレビではなく目の前で、生の声と一緒に見ることができる、というドキドキ感も味わえるので、演目に出演する俳優のチェックやお気に入りの俳優を見つけておくのも良いですよ。

3.初心者にも歌舞伎公演は楽しめる?
歌舞伎デビューはこんな公演・演目がおすすめです!
歌舞伎の演目は、人気演目は何度も何度も上演されます。「当たり役」としてその演目で有名になった俳優は同じ役所を何度も演じますし、配役を変えて上演も行います。人気演目は事前にあらすじを一から読み込まなくとも、なんとなく知っているストーリー、という演目もあります。歌舞伎の観劇デビューには人気演目を少しずつ何度か見て、その中からお気に入りのものを見つけていくことをお勧めします。
ここでもいくつか例を紹介します。例えば、襲名公演でしばしば上演される「連獅子」、源義経と武蔵坊弁慶が逃避行した様子を演じ、関所を通れるかどうかドキドキするする内容の「勧進帳」、父を殺された恨みや復讐など人間模様がからまりあった「東海道四谷怪談」、赤穂浪士の敵討ちを題材にした「仮名手本忠臣蔵」などは上演回数が非常に多く、内容もわかりやすく、初心者が初めて観劇するにはぴったりの演目です。

¥4,180(税込)
2007年3月パリのオペラ座ガルニエ宮で行われた市川家による大歌舞伎「勧進帳」「紅葉狩」とフランス語の口上を、NHK番組の映像と、解説&台本によって、より分かりやすく紹介した「シリーズ歌舞伎」第一弾!
歌舞伎の舞台のここを見ると、どんどん歌舞伎が面白くなる!
歌舞伎は演劇としての内容だけではなく、現代の歌舞伎の舞台の豪華さや俳優一人一人の動きが非常に面白いです。
歌舞伎独特の化粧や、俳優陣の立ち居振る舞い、筆者は毎回女形役者の所作の美しさに感動しますし、俳優陣の声の良さも楽しみの一つです。
歌舞伎そのものだけではなく、見ている人それぞれ、舞台装置や、俳優の姿勢や動き、声、衣装、音楽など着目して、面白いと感じる部分が異なります。それが歌舞伎の醍醐味の一つでもあると考えるので、ぜひ、あなたなりの楽しみ方を探して、歌舞伎の世界に引き込まれてください。
歌舞伎の奥深い世界を見てみませんか?
歌舞伎は、歴史の長さから敷居の高い舞台と思われがちですが、決してそうではなく、庶民向きの決まりごとのない芸能です。気軽な気持ちで観劇し、有名な演目やお気に入りの俳優を見つけてみると、回数を重ねるごとにその奥深さに惹かれるようになるでしょう。
まずは初めの第一歩、あなたも歌舞伎の観劇デビューをしてみませんか?