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初めてでも気軽に手にとってみて!今から村上春樹作品を読んでみよう

初めてでも気軽に手にとってみて!今から村上春樹作品を読んでみよう

現在、全世界で人気を博し、最もノーベル賞に近い日本人作家である村上春樹。新刊が発売される度に大きな話題となりますが、その一方で、いまだ村上春樹作品を読んだことがないという方も大勢いることでしょう。今回は、初めて村上春樹の本を読んでみようという方に向けて、その魅力と楽しみ方を紹介します。

Yamako

この記事のアドバイザー

Yamako

整理収納アドバイザー兼webライター 個人宅の片づけ&ライター業の二足のわらじ


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目次

1.村上春樹とは

村上春樹のプロフィール

1949年生まれの日本の小説家、エッセイスト、翻訳家。京都府生まれ。兵庫県育ち。早稲田大学第一文学部演劇科卒。1979年、ジャズ喫茶を経営しながら書いた小説「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞しデビューしました。

1987年発表した5作目の長編小説「ノルウェイの森」がベストセラーになり、村上春樹ブームが起きます。2009年時点で国内累計発行部数が1000万部を突破。世界各国で翻訳され、海外でも高い人気を誇っています。一方で、村上春樹自身も、精力的に翻訳を行っており、数多くの作家の作品を訳しています。また、毎年、秋になると、ノーベル文学賞の最有力候補として注目を集めています。

趣味はマラソンとレコード収集。小説を書くにはタフな体が必要との考えで、かなりストイックに取り組んでおり、マラソンに関する著書「走ることについて語るときに僕の語ること」も出しています。また、音楽に対する造詣も深く「ポートレイト・イン・ジャズ」「意味がなければスイングはない」「村上ソングズ」といった音楽に関する著書も多数出版しています。

村上春樹の魅力

村上春樹について100人が語れば、100通りの魅力が出てくるでしょう。特に、作品の魅力や評価は、個人的視点に立ったものなので、かなり主観が入ります。今回は、あえて、作品自体ではなく、村上春樹という人物について、筆者が考える魅力を紹介することにしました。ぜひ、これをきっかけに作品を手に取ることがあれば、自分自身で、村上春樹作品の魅力を見つけてください。

・挑戦しつづける姿勢
村上春樹は1つのスタイルにこだわることなく、常に作品内で新しい挑戦をし続けています。例えば、『ノルウェイの森』ではリアリズム小説を書き切るという実験をし、『アフターダーク』ではシナリオ的な書き方をし、『スプートニクの恋人』では、それまでの文体の総決算をしようと書き始めたと、インタビューで語っています。少し長めの長編では、いつも自分なりの実験みたいなことをやっているそうです。

ベストセラーになった作品のスタイルにこだわらず、批評や失敗を恐れず、常に新しい可能性を楽しみながら模索する。その姿勢が逆に、ベストセラーを生み出し続けているのかもしれません。村上春樹の作品を読み比べ、どの作品でどんな実験をしているのかを考えるのも、面白い読み方ですね。

また、村上春樹自身も、小説家という枠にとどまらない活動をしています。アメリカの大学で教鞭をとったり、ラジオ番組のDJをしたり、地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをしたりと、多岐に渡ります。

なによりおもしろいのは、読者から質問メールを受け付け、それに回答する、期間限定のサイトをインターネット上に、不定期にオープンすることです。たとえば、直近では2015年1月から5月にかけて、「村上さんのところ」というサイトをオープンしていました。期間中、世界中から3万7465通の質問メールが届き、それを1人でコツコツ読破し、3716通に回答をしました。回答は全てサイト上に掲載され、そのやりとりをまとめた著書「村上さんのところ」も出版されています。

「文書がうまくなるには?」という王道の質問から、「奥さんの機嫌が悪い時は?」といった愉快なものまで、まじめに回答してくれています。誰でも想像がつくかと思いますが、面識がない人達からの膨大なメールを読み、しかも、回答を書くという作業は気が遠くなるほどの労力を要します。批評家や賞レースよりも、1人1人の読者を大切にしたいという村上春樹の真摯な姿勢がよく分かります。

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世界中から届いた3万7465通のメールを、たったひとりで完全読破し、せつせつと書き連ねた3716の回答から、笑って泣いて考えさせられる473の問答を厳選!フジモトマサル描き下ろしイラスト満載の愛蔵版!

・ボーダーレスなフットワーク
村上春樹作品の英訳を多く手掛けてきたアルフレッド・バーンバウムさんは「村上さんは、たまたま日本語で書いているアメリカの作家」と評しています。村上春樹の作品を読んでみると、日本語で書いているにも関わらず、外国の小説を読んでいるかのような空気感を感じることに気づくでしょう。

登場人物は、スパゲッティをゆで、ジャズやクラシックを聴き、皮肉たっぷりのユーモアをとばします。そのボーダーレスな文体が、世界中で受けいれられる1つの要因になっています。10代の頃から欧米翻訳小説を読み漁ってきた経験が、村上春樹の文体には色濃く反映されていると考えられます。

また、作品だけではなく、村上春樹自身も世界のあちこちへと足を運んでいます。30代の頃には約3年間、ギリシャ・イタリアに住んで執筆活動をし、40代の頃には約4年間、アメリカに滞在し、執筆活動をしながら大学で講師を務めています。2000年のシドニーオリンピックでは、オリンピックの全期間にわたって試合を観戦し、その記録をまとめるという仕事もしています。さらに、外国の賞を受賞した際には、招かれてスピーチをしたり、講演も行っています。モンゴル、メキシコ、トルコなどを旅した旅行記も執筆しています。

活動場所は日本に留まらず、また、活動内容も小説家の域にとどまりません。このフットワークの軽さが、村上春樹の魅力の1つです。

2.初心者におすすめ村上春樹作品(フィクション編)

村上春樹=大ベストセラーの「ノルウェイの森」と思い込んで、「ノルウェイの森」から読み始めると、挫折する可能性が高いかもしれません。今回は、初心者ならこの作品を入口にすると入りやすい、という観点から作品を選びました。長編小説よりも、まずは短編小説から読んでみるほうがおすすめです。

オススメ短編小説

・カンガルー日和
18作品が収録された短編小説。クスっと笑える作品ばかりで、さらっと読めてしまいます。特に「カンガルー日和」「4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」「あしか祭り」「とんがり焼の盛衰」はおすすすめ。

カンガルー日和 (講談社文庫) | 村上 春樹, 佐々木 マキ |本 | 通販 | Amazon

¥583(税込)

時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。

・パン屋再襲撃
6作品が収録された短編小説。表題作の「パン屋再襲撃」は、新婚夫婦がマクドナルドを襲うというストーリー。先の展開が気になり、どんどん読めてしまいます。「ねじまき鳥と火曜日の女たち」は、のちの長編小説「ねじまき鳥クロニクル」の冒頭の章のもとになった話です。この作品を読んでみておもしろいと思ったら、長編小説「ねじまき鳥クロニクル」も、楽しめること間違いなしです。

新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫) | 村上 春樹 |本 | 通販 | Amazon

¥616(税込)

堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古カローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。

オススメ長編小説

・羊をめぐる冒険
1982年に発表された長編小説。広告代理店に勤める男のもとにきた、「羊を探してほしい」という依頼をきっかけに、羊探しの旅が始まります。デビュー作「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」と合わせて「鼠三部作」と呼ばれる3番目の作品。ストーリーは全てつながっていますが、この作品から読み始めても十分楽しめます。「風の歌を聴け」は少し癖があるので、まずこちらの作品を読み、おもしろいと思えたら、さかのぼって前の2つを読むほうがおすすめ。

羊をめぐる冒険 | 村上 春樹 |本 | 通販 | Amazon

¥2,090(税込)

1通の手紙から羊をめぐる冒険が始まった消印は1978年5月──北海道発

・国境の南、太陽の西
バブル絶頂期の東京が舞台。ジャズバーを経営し、幸せな家庭を築いている男のもとに、昔好きだった女性があらわれるというストーリー。村上春樹作品特有のファンタジーが苦手という人には、リアルな日常が舞台のこちらの作品がおすすめ。登場人物たちの揺れ動く心情に、共感できる部分は多いのではないでしょうか。

国境の南、太陽の西 (講談社文庫) | 村上春樹 | 日本の小説・文芸 | 本 | Amazon

¥583(税込)

今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう―たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて―。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作。

・世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
1986年に発表された長編小説。「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という2つの世界が、交互に描かれます。現実世界に存在しないものが多く登場するファンタジー色の強い作品。ぐいぐい引き込む力があるので、ぜひたっぷり時間がとれる休日に、物語の世界にどっぷりつかって、一気に読むことをおすすめします。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫) | 村上 春樹 |本 | 通販 | Amazon

¥825(税込)

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、“世界の終り”。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する“ハードボイルド・ワンダーランド”。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

3.初心者におすすめ村上春樹作品(ノンフィクション編)

村上春樹を初めて読むという人には、個人的には小説よりも、エッセイや紀行文などのノンフィクションをおすすめします。軽やかでリズムのある文体と、思わずクスっと笑ってしまうような場面がちりばめられていて、村上春樹という人の魅力がじんわりと伝わってきます。

オススメのエッセイ

・ランゲルハンス島の午後
1986年刊行。25編のエッセイを収録しています。軽いタッチで、「もう終わり?」と思ってしまうほどに、さらっと読めてしまいます。穏やかな気持ちのいい休日の午後、ワイン片手に読みたくなるようなエッセイ。おすすめは「女子高校生の遅刻について」「財布の中の写真」「ランゲルハンス島の午後」。

ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫) | 村上 春樹, 安西 水丸 |本 | 通販 | Amazon

¥693(税込)

カラフルで夢があふれるイラストと、その隣に気持ちよさそうに寄りそうハートウォーミングなエッセイでつづる25編。

・やがて哀しき外国語
アメリカのプリンストン大学に客員研究員として滞在していた約2年間の出来事を綴ったエッセイ。10代の頃から英米文学を読み、多くの作品を翻訳している、英語が堪能な村上春樹ですが、外国で外国語を使って生きるということの哀しさについて言及しています。海外生活経験者や英語を勉強している人なら、共感できる部分が多々あり。

やがて哀しき外国語 (講談社文庫) | 村上春樹 | 日本の小説・文芸 | 本 | Amazon

¥583(税込)

初めてプリンストンを訪れたのは一九八四年の夏だった。F・スコット・フィッツジェラルドの母校を見ておきたかったからだが、その七年後、今度は大学に滞在することになった。二編の長編小説を書きあげることになったアメリカでの生活を、二年にわたり日本の読者に送り続けた十六通のプリンストン便り。

・走ることについて語るときに僕の語ること
2007年刊行。フル・マラソン、100キロマラソン、トライアスロンなどのレースに挑み、走り続けてきた村上春樹が、走ることについて語ったエッセイ。ランナーという位置から、小説家という自分自身を見つめています。どうして走り始めたのか?どうして走り続けるのか?走ることは小説家の自分に何をもたらしたのか?マラソンをはじめ、スポーツ経験者に特におすすめです。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) | 村上春樹 | ノンフィクション | 本 | Amazon

¥715(税込)

もし僕の墓碑銘なんてものがあるとしたら、“少なくとも最後まで歩かなかった”と刻んでもらいたい―1982年の秋、専業作家としての生活を開始したとき路上を走り始め、以来、今にいたるまで世界各地でフル・マラソンやトライアスロン・レースを走り続けてきた。村上春樹が「走る小説家」として自分自身について真正面から綴る。

オススメの紀行集

・遠い太鼓
1986年から1989年まで、ギリシャ・イタリアで過ごした約3年間を綴る旅行記。この3年間で、村上春樹にとって大きな転換点となる長編小説「ノルウェイの森」と「ダンス・ダンス・ダンス」を書きあげています。「ノルウェイの森」が大ベストセラーになったことの驚きと苦悩についても言及。単なる旅行者ではなく、外国で生活する者としての視点から、ギリシャ・イタリアという国を見つめています。海外生活経験者には特におすすめ。

遠い太鼓 (講談社文庫) | 村上 春樹 |本 | 通販 | Amazon

¥880(税込)

ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。―その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。1986年秋から1989年秋まで3年間をつづる新しいかたちの旅行記。

・辺境・近境
1990年から1997年にかけて訪れた、7つの場所についての旅行記。なかなか行くのは難しいという辺境(ノモンハン・無人島・メキシコ・アメリカ大陸横断など)から、すぐに行けそうな近境(神戸・香川)まで、旅の様子が時にシリアスに、時にユーモアたっぷりにつづられています。読むと思わず旅に出たくなる1冊。

辺境・近境 (新潮文庫) | 春樹, 村上 |本 | 通販 | Amazon

¥649(税込)

久しぶりにリュックを肩にかけた。「うん、これだよ、この感じなんだ」めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町…。NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃!旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。ご存じ、写真のエイゾー君と、讃岐のディープなうどん紀行には、安西水丸画伯も飛び入り、ムラカミの旅は続きます。

読書で食わず嫌いは損!

知名度と人気がある作家であればあるほど、「どの本から読み始めればいいのか?」と、とっつきにくさを感じてしまうものです。メディアで話題となり、取り上げられる機会も多いことから、先入観も抱きやすいですよね。特に村上春樹は、ハルキストと呼ばれる熱狂的なファンの存在や、芸能人のアンチ発言などによって、初心者は敬遠してしまうかもしれません。

しかし、1冊も読むことなく敬遠するには、村上春樹はあまりに惜しい作家です。小説や作家の評価というものは、本来自分1人がするもの。周りの声に左右されず、いったんフラットな気持ちになって、1人の読者として、1人の作家である村上春樹の本を、手に取ってみませんか?

職業としての小説家 (新潮文庫) | 春樹, 村上 |本 | 通販 | Amazon

¥693(税込)

「村上春樹」は小説家としてどう歩んで来たか―作家デビューから現在までの軌跡、長編小説の書き方や文章を書き続ける姿勢などを、著者自身が豊富な具体例とエピソードを交えて語り尽くす。

Yamako

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Yamako

整理収納アドバイザー兼webライター 個人宅の片づけ&ライター業の二足のわらじ




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