「はじめて」をわかりやすく。

森鴎外を初めて読む人におススメの作品と豆知識

森鴎外を初めて読む人におススメの作品と豆知識

夏目漱石と並ぶ明治の大文豪森鴎外。元々医者で陸軍省の医務局長という高級官僚にまでなりましたが、一方で文学者として強い創作意欲を持ち続け、「舞姫」「阿部一族」「高瀬舟」「山椒大夫」などの話題作を次々発表しました。ここでは森鴎外を初めて読む人に向け、鴎外の名作とその生涯を簡単に紹介していきます。

ニャートパイツ

この記事のアドバイザー

ニャートパイツ

記者・編集者として20年以上の実績があります。


OPEN

目次

2.森鴎外の読んでおくべき3作品

森鴎外は小説、翻訳、評論など、さまざまな表現活動を精力的に行ってきましたが、ここでは今でも多くの人の心を惹きつけてやまない3作品について紹介していきたいと思います。

「舞姫」

森鴎外の処女作であり出世作となった作品です。1890(明治23)年、森鴎外が29歳のとき、「国民之友」という雑誌に掲載されました。法学士として将来を嘱望される青年・太田豊太郎が留学先のドイツ・ベルリンでエリスという踊り子の少女と恋に落ちるも悲しい結末を迎えてしまう物語です。

簡単にあらすじを言いますと、太田はエリスと恋仲になることで立場を失うのですが、友人の助けで出世への足掛かりを得ます。その友人は帰国を促し、すでにエリスとの子をもうけていた太田は意識不明の状態になるほど激しく懊悩します。その間に友人はエリスに太田と縁を切るように迫り、そのショックでエリスは発狂してしまうという話です。

「舞姫」のモデルは森鴎外自身と言われています。その根拠の一つとして森鴎外が帰国した後、エリスというドイツ人女性が森鴎外を追ってやってきたこと、そのエリスに対して森鴎外の親戚たちが説得して帰国させたというエピソードがあります。

舞姫・うたかたの記―他3篇 (岩波文庫 緑 6-0) | 森 鴎外 | Amazon

¥572(税込)


日本人留学生とドイツの一少女との悲恋を描いた「舞姫」のほか、鴎外(1862‐1922)の青春の記念ともいうべき「うたかたの記」「文づかひ」、名訳「ふた夜」を収めた。いずれも異国的な背景と典雅な文章の間に哀切な詩情を湛える。併収した「そめちがへ」は、作者の初期から中期への展開を示す作品として重要である。

「山椒大夫」

1915(大正4)年、森鴎外が54歳のときに「中央公論」に発表した作品です。江戸時代の浄瑠璃物語「さんせい太夫」をアレンジしています。

遠く離れた父親に会うために旅をしていた親子と女中、ですがそのうちの子供2人を山椒大夫がさらいます。さらわれた子供は14歳の姉・安寿と12歳の弟・厨子王。安寿は厨子王を逃がした後、入水自殺します。逃げおおせた厨子王はその後、父の死を知り悲嘆にくれるも政府高官(関白)の庇護を受け、出世して地方国守になります。そしてその地方での人買いを禁止し、山椒大夫がさらって奴婢にした人たちを解放します。そして年老い盲目となった母と再会を果たすというストーリーです。

「高瀬舟」

1916(大正5)年、森鴎外が55歳のときに「中央公論」に発表した作品です。京都を流れる高瀬川から島流しにされる罪人を送る高瀬舟での一場面を描いています。

高瀬舟に乗り島送りの罪人を見届ける役人・羽田庄兵衛は弟殺しの罪人・喜助の晴れやかな様子を見て不思議に思います。そしてついつい、なぜそんなに晴れやかな様子なのか、なぜ罪を犯したのか、といった疑問を喜助に投げかけます。

そこで羽田は喜助から、病気と貧窮のため自殺しようとするも死にきれない弟を安楽死に導いたことや、刑を受け島流しになることで今まで手にすることのできなかった給金を得られた喜びの気持ちなどを聞くにつれ、これは本当に罪なのか、不思議に思う話です。

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫) | 森 鴎外 | Amazon

¥539(税込)

人買いのために引離された母と姉弟の受難を通して、犠牲の意味を問う『山椒大夫』、弟殺しの罪で島流しにされてゆく男とそれを護送する同心との会話から安楽死の問題をみつめた『高瀬舟』。滞欧生活で学んだことを振返りつつ、思想的な立場を静かに語って鴎外の世界観、人生観をうかがうのに不可欠な『妄想』、ほかに『興津弥五右衛門の遺書』『最後の一句』など全十二編を収録する。

30 件
ニャートパイツ

この記事のアドバイザー

ニャートパイツ

記者・編集者として20年以上の実績があります。




この記事をシェアしよう

こちらの記事もおすすめ