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川端康成はどんな人で作風は?初めて読むのにオススメな作品をご紹介!

川端康成はどんな人で作風は?初めて読むのにオススメな作品をご紹介!

ノーベル文学賞受賞者として有名な小説家・川端康成。作品を読んでみたいけど読みやすい作品にはどんなものがあるかわからないという人も多いでしょう。今回は川端康成の人物像や生きた時代、初めて川端康成を読むのにオススメの作品に加え、川端康成の世界をより楽しむ方法などもご紹介します。

えりりこ63

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えりりこ63

元日本語教員で2児の母


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目次

1.初めての川端康成は人物を知ることから

川端康成といえば「雪国」「伊豆の踊子」など数々の文学作品を世に送り出した作家として有名です。作品を読んだことがなくても、その名を知らない人の方が少ないはず。

せっかくこれから川端康成を読むのであれば、彼がどんな人物だったのかを知るところから始めてみてはいかがでしょうか?

大正・昭和を生きた小説家・川端康成

川端康成は明治32年(1899年)6月14日、大阪府に生まれました。7か月の早産で生まれ、また虚弱な父の血を引いたせいか川端康成も幼い頃は体が弱かったそうです。また、非常に繊細な性格をしており、小学校の入学式では人の多さに驚き、恐怖を感じ泣いてしまったのだとか。

そんな川端康成ですが、幼いころから成績優秀、特に作文は群を抜いていたそうです。そして、東京帝国大学(現在の東京大学)国文科在学中にその才能を認められ、西欧の文学を取り入れた「新感覚派」として注目を浴びます。近代日本文学の中でもトップレベルの活躍ぶりを見せ、多くの作品を発表した川端康成。大正・昭和という2つの時代を駆け抜けた彼は、昭和47年(1972)4月16日、72歳でガス自殺をしましたが、美しい文章と多くの作品は、今もたくさんの人に親しまれ、評価されています。

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日本人初のノーベル文学賞受賞者

素晴らしい文学作品の数々を発表した川端康成ですが、実は日本人初のノーベル文学賞受賞者でもあります。受賞が決定したのは昭和43年(1968年)10月17日。川端康成が69歳のとき。昭和36年(1961年)にノーベル文学賞候補者となってから7年目にしてようやくの受賞となりました。

受賞対象作品は『雪国』『千羽鶴』『古都』、短編『水月』『ほくろの手紙』などで、その理由は「日本人の心の精髄を、すぐれた感受性をもって表現、世界の人々に深い感銘を与えたため」でした。川端康成は受賞の際のインタビューで「運が良かった」「翻訳者のおかげ」「三島由紀夫が若すぎたおかげ」など、謙遜の言葉を述べたそうです。繊細な作品を書く川端康成らしい、控えめなコメントだと言えます。

川端康成は西欧の文学を取り入れた「新感覚派」の作家だと前述しましたが、彼の作風や手法は1つではなく、非常に多くのバリエーションを持っていたことから、「奇術師」と呼ばれることもあったそうです。

しかし、あえて作風を一言で表すとすればやはり「美しい」の一言に尽きるでしょう。有名な著書にある様々な情景描写の美しさを知る人は多いでしょうが、彼の作品のすばらしさはそれだけではありません。実は川端康成は、売春や浮気などを作品のテーマとして取り入れることもありました。しかし、それすらも彼の手にかかれば何とも美しい表現に変わってしまう、そんな作風の持ち主なのです。

2.初めてでも読みやすい川端康成作品

初めて川端康成の作品を読むのであれば、やはり有名なところから攻めていくのがオススメです。川端康成の作品の中でもメジャーで、そして読みやすい「伊豆の踊子」「雪国」「愛する人達」の3作品は、タイトルくらいは聞いたことがある、教科書に載っていた、という方も多いのではないでしょうか?

初めての川端康成作品①伊豆の踊子

「伊豆の踊子」は主人公である青年とヒロインの踊子の間の恋を描いた短編小説です。静岡県の伊豆へ一人旅に出た青年が、旅芸人一座と道連れになり、そこにいた踊子の少女に恋心を抱く…2人の心の変化、そして別れまでが描かれています。川端康成の初期の代表作ともいえる「伊豆の踊子」ですが、実はこの作品は、川端康成自身が19歳の頃に伊豆を旅した際の実体験を元に書かれたものです。

多くの読者に親しまれた「伊豆の踊子」は、映画、ドラマ、舞台などでも何度も上映されており、映画化はなんと6回。ヒロインの踊子役は、当時アイドルとして大ブレイクしていた山口百恵さんも務めました。

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旧制高校生である主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。途中、旅芸人の一団と出会い、そのなかの踊子に、心をひかれてゆく。清純無垢な踊子への想いをつのらせ、孤児意識の強い主人公の心がほぐれるさまは、清冽さが漂う美しい青春の一瞬……。ほかに『禽獣』など3編を収録。

初めての川端康成作品②雪国

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」誰もが一度は耳にしたことのあるフレーズなのではないでしょうか?これは川端康成の「雪国」の冒頭の文章です。主人公は定期的に雪国を訪れる男性。彼が懇意にしている芸者の駒子との会話を中心に、雪国に生きる女性たちを見つめ、周囲で起こるできごとを描写する、そんな物語です。

「雪国」は川端康成自身も非常に思い入れのあった作品だったようで、約13年の歳月をかけ完成させたそうです。ノーベル文学賞の審査対象にもなり、海外からも高評価を得た「雪国」は、まさに川端文学の代表作ともいえるでしょう。

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親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。

初めての川端康成作品③愛する人達

9つの短編が収録された「愛する人達」。このタイトルはノーベル文学賞の対象作品にもなった「ほくろの手紙」の「わたくしは愛する人達を思ふために」からつけられたのだと思われます。

「母の初恋」「女の夢」「夜のさいころ」「燕の童女」「夫唱婦和」「子供一人」「ゆくひと」「年の暮れ」、そして「ほくろの手紙」という9作品の主人公9人の思いが丁寧に、そして美しく描かれており、全てを読み終えた後も胸に響くものがあります。初めての川端康成、でもメジャーすぎるのはちょっと…という場合には短編集から攻めていくのも良いかもしれません。

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母の死後、母の初恋の人、佐山に引きとられた雪子は佐山を秘かに慕いながら若杉のもとへ嫁いでゆく――。雪子の実らない恋を潔く描く『母の初恋』。さいころを振る浅草の踊り子の姿を下町の抒情に托して写した『夜のさいころ』。他に『女の夢』『燕の童女』『ほくろの手紙』『夫唱婦和』など、円熟期の著者が人生に対し限りない愛情をもって筆をとった名編9編を収録する。

3.川端康成の世界をより楽しむには

川端康成の生い立ちや初めての方にオススメの川端作品をご紹介してきましたが、より川端康成の世界を楽しむならば、作品の舞台や川端康成が生まれ育った場所を訪れてみてはいかがでしょうか?川端康成が美しく描写したその風景に触れる、川端康成が育った、学んだ場所に立ってみることで、より川端康成の世界を深く感じることができるかもしれません。

川端康成の作品の舞台となっている場所は新潟や静岡、京都、大阪、東京、九州など日本全国に渡ります。まずは自分の住んでいる地域に近い場所で、舞台となっているところはないか探してみましょう。旅行も兼ねて好きな作品の舞台に足を延ばしてみるのも楽しいかもしれません。川端康成が何を見て、どう感じ、作品にしたのかを考えることで、より作品の理解が深まるのではないでしょうか?

大阪天満宮

川端康成を知りたければ大阪へ

川端康成について知りたいのであれば、生まれ育った大阪へ行ってみましょう。川端康成は生まれは大阪市内ですが、小さい頃に両親と死別し、大阪府茨木市の祖父母宅に引き取られます。そして、旧制中学を卒業するまでの年月をそこで過ごしたのです。大阪には川端康成に関する場所が多く残されています。

・川端康成誕生地跡(大阪市)
大阪天満宮表門の近くに石碑があります。

・川端康成文学碑(茨木市)
川端康成の出身校である府立茨木高校では、彼がノーベル文学賞を受賞した際に「以文会友(学問を通しての交友)」という記念碑への言葉をもらい、文学碑を建てたそうです。

・川端康成文学館(茨木市)
ノーベル文学賞を受賞した昭和43年に、茨木市は「茨木市名誉市民」の称号を川端康成に贈り、川端康成文学館を会館しました。館内には川端康成の著書や遺品、原稿、初版本、書簡、遺影など展示されています。

作品の舞台ならオススメはやはり新潟、静岡

川端作品の舞台は全国にあると前述しましたが、初めて川端康成を読んだ後はやはり「雪国」の新潟県越後湯沢、「伊豆の踊子」の静岡県伊豆を訪れるのがオススメ。

「雪国」の冒頭に出てくる「国境の長いトンネル」のトンネルは新潟と群馬の県境にある上越線清水トンネルです。しかし、現在は上り専用のためトンネルを抜けると群馬県になるのが少々残念。しかし、越後湯沢の美しい雪景色を楽しみながら温泉で心も体も温まれば、川端康成の感じた世界に近づくことができるかもしれません。

また、「伊豆の踊子」では静岡県の湯ヶ島、天城峠、下田、中伊豆などが舞台となっています。太平洋と富士山が美しい静岡県。こちらも新潟県同様温泉と海の幸が豊富で、観光地もたくさん。19歳の川端康成がどんな旅をしたのか、そんなことを考えながら中伊豆の旅を楽しむのも良いのではないでしょうか?

旧天城トンネル

川端康成の作品は読んで・訪れて2度楽しい

近代日本文学の頂点に立ち、日本人初のノーベル文学賞も受賞した川端康成。その才能を存分に発揮した数々の作品は、今も読む人の心を魅了します。川端康成の描く美しい世界にどっぷり浸かること、また、川端文学の舞台となった地を巡ることで、1つの作品を2度楽しむこともオススメです。

初めての川端作品から世界を広げ、近代文学の扉を開いてみてください。

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パリで開催された「川端康成」の国際シンポジウムをもとに、ヨーロッパ・アメリカ・アジアの執筆者が大集結。近代の文化遺産、KAWABATAを、世界の舞台に再生する。

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