
「日本酒」はどれを飲む?和食にも洋食にもよく合う日本酒デビューしませんか?
2019.10.30 | 234view
最近日本酒がブームと言われています。でも話題になっている日本酒はなかなか見かけないけれど、どんなところで売られているの?スーパーで売っている日本酒とは違うの?いろいろな日本酒を知って、今日の食事にぴったりの「はじめての日本酒」を選びましょう!
目次
1.いろんな表現がありすぎ!日本酒についてちょっと整理してみよう
日本酒といったら、どのようなイメージを思い浮かべますか?
おちょこととっくりのイメージ、悪酔いする、べたべた甘い・・・。しかも、いろんな種類があって、よくわからない。「日本酒が苦手」とおっしゃる方は、みなさんこのようなイメージをお持ちのようです。でもちょっと待って下さい。近年は日本酒が世界からとても注目されているのです。
和食が世界文化遺産となって認知されるに従い、その和食ととても相性の良い日本酒は、作り手の個性のよく出る稀有なお酒として、これからどんどんマーケットが広がる可能性を秘めています。そんな日本酒の魅力を、きちんと知識を持って、楽しんでみませんか。
よくある「辛口」って何? 日本酒の味は4種類
「日本酒を飲むなら辛口だよ」って、日本酒通と称する方が言うのを、聞いたことありませんか?
この「辛い」は、トウガラシの辛さではなく、ドライと言う意味の辛さです。スーパードライの「ドライ」ですね。辛口とか甘口という表現は、人の舌の感じ方にもかなり左右されるのですが、辛いからうまい、というわけでは決してありません。もちろん「辛口」とされているお酒にもおいしいお酒はたくさんありますが、反対に「甘口」とされているお酒だってとてもおいしいものが多いんです。
日本酒は、甘い、辛い、だけでは分けられない、もっと奥の深い飲み物です。そして、日本酒は単独で飲むよりも、食事と合わせていただくとより深く楽しめる「食中酒」でもあります。
「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会」では、日本酒を4つの種類に分類しています。日本酒の味わいの分類はさまざまな団体がいろいろと表現しているのですが、これが一番わかりやすいかと個人的に思いましたので、この分類を例に挙げてみます。
「薫酒」:香りが高く淡麗な味わい(大吟醸・吟醸)
「爽酒」:口当たりが滑らかであっさりとした味わい(本醸造・生酒)
「醇酒」:コクがあり複雑な味わい(純米酒・生酛)
「熟酒」:香りがありとろりと濃い味わい(熟成酒・古酒)
いわゆる「スッキリ系」と言われるものは、ここでは「爽酒」にあたります。一般に辛口と表現されるものもここに入るかと思われます。ですが、フルーティと称されるお酒はこの中のどこにも存在し、どんな果実に近い味わいなのかによっても異なります。香りがフルーティなものもありますし、とろりとした甘さに果実の甘みを感じることもあるでしょう。また、同じ甘さでもお米の甘さをしっかり味わえるものもあります。「醇酒」はこのタイプです。
ですので、もちろん自分の好みもあるのですが、食事に合わせる場合、味わいがさっぱりしているか濃いか、香りが高いかどうかで判断していくといいと思います。味の濃い目の料理には濃い目のお酒を、お出汁の微妙な味わいを活かすならスッキリとしたお酒を合わせると、いい組み合わせになります。
純米と吟醸と大吟醸の違いは何?
お米の磨き方と原材料によって、日本酒は8つの名称に分かれます。日本酒はお米からできているお酒です。米は芯に近いほど、雑味のないピュアな澱粉質になるので、その磨き具合によって、味わいも変わってきます。
あまり磨かずに米の表層にあるたんぱく質や旨みを残した純米酒や本醸造酒は、ボディのしっかりとした、お米の味、いわゆるお米の甘さを感じられるお酒になりますし、芯に近いところまで磨いたお米でつくった吟醸酒や大吟醸は、香りの高い淡麗な味わいのお酒になります。
そして、原材料に醸造アルコールが入っているかどうかでも名称は変わります。醸造アルコールは100%植物由来のアルコールで、主にサトウキビを原料としています。添加も3割までとされ、香りや味もほぼないので、本来のお酒の味を変えることがありません。
添加するのは、雑味を抑え、スッキリした味わいにするためと、長期保存に対し腐敗を防ぐためです。また、吟醸酒や大吟醸を搾る時に出る吟醸香を、アルコールを加えることで、お酒の中に溶け込ませ、より香り高いものにすることができます。
これら8つのカテゴリに入らない日本酒は「普通酒」と呼ばれますが、蔵元であえてこの8種の名称を使わず、普通酒として販売しているものもあります。この名称を使っていなくても、きちんとつくられておいしい日本酒はたくさんあるので、名称にこだわらず、いろいろなお酒を試してみてください。
冷蔵庫に入っている酒と入っていない酒の違い
お酒の売り場やリカーショップに行くと、日本酒は2つの場所に分かれて置いてあることに気がつきませんか?普通に陳列されている日本酒と、冷蔵ケースに置いてある日本酒です。これは、常温で保存できる日本酒と、低温で品質管理をしなければならない日本酒との違いです。前者は「火入れ」のお酒、後者は「生酒」です。
日本酒は、発酵してできた醪(もろみ)を搾ってつくられます。この時点で酵素はまだ活発に生きています。その動きをベストの状態で止めて保存するため、「火入れ」と呼ばれる熱処理を、搾った後と、瓶詰めをした後の2度行って流通されるものが、常温保存の一般的な日本酒です。
一方、全く熱処理を行わず、酵素が生きている状態で搾って瓶詰めし出荷されるものが「生酒」です。冷蔵処理と遮光をしないと発酵がいき過ぎて味が変わってしまうため、かなりデリケートなお酒です。以前はほぼ地元でしか飲めないお酒だったのですが、低温運搬が可能になった近年、かなりの数が流通ルートに乗るようになりました。
生酒は、酒販店ではもちろん、購入した後、家でもできるだけ冷蔵し、早く飲み切るべきお酒です。ですが、そのフレッシュさと味わいはやはり格別で、初めての方でもぜひ味わっていただきたい日本酒なのです。
2.おいしい日本酒はどこで買える?
スーパーやコンビニでも買える日本酒
スーパーの酒売り場やコンビニでも日本酒は売っています。もちろん瓶詰めのもありますが、実は紙パックの日本酒も、意外においしいものが多いんです。
紙パック日本酒は別に料理用ということではなく、きちんとつくられていて、普段使いに比較的安価で販売されているものです。ワインでも、紙箱パックのテーブルワインがありますよね。それと同じように、家呑みに十分活用できる日本酒がたくさんあります。小さめのパックで売られているものもあるので、試しに買って飲んでみるのもいいですね。

菊正宗 しぼりたてギンパック [ 日本酒 兵庫県 500mlx6本 ]
¥2,852(税込)
内容量:500ml×6本
県名: 兵庫県
おすすめの飲み方: 花冷え
アルコール度数: 15%
際立った華やかな香りと新酒のようなフレッシュな風味を手軽にお楽しみいただけます。
ちょっとこだわりのお酒はネットでも買える
なかなか近所にいい酒屋がない、というとき、ネットの販売サイトを探してみましょう。火入れのお酒なら問題なくとりあつかってもらえますし、吟醸酒や大吟醸はクール便でいいコンディションで届けてもらえます。生酒は取扱数は少ないのですが、扱うショップも増えて来ているようです。


¥3,180(税込)
アルコール分:16度、日本酒度:+4、酸度:1.3、精米歩合:45%、原料米:山田錦/吟の精 醸造元:齋彌酒造店・秋田県由利本荘市
生酒を買うならお店をさがそう
ネットでも買えるとはいえ、やはりお酒をいろいろな種類から選びたいなら、実店舗に行くのが一番です。実店舗なら、店主や店員から味やつくりについての情報がもらえますし、ワインのソムリエのように、こちらの要望に合ったお酒を選んでもらえます。
生酒に特化してラインナップにこだわるお店は、冷蔵ケースでしっかり管理されている、店内が薄暗い、という特徴があります。蔵元から出荷した状態をできるだけ保ってお客に届けるため、生酒を守るためにそういう管理をしているのです。もしこういうお店を見つけたら、今の旬のオススメを聞いてみましょう。
ナショナルブランドの日本酒や紙パック日本酒と違い、いわゆる地酒と呼ばれるお酒は、それほど量がつくられるわけではありません。米の種類、水の温度、麹の種類、造りに入った時の蔵の温度・湿度、つくられたタンクによっても味は変わります。日本酒は本当に一期一会なお酒なのですが、生酒はそれがもっとも顕著に現れるお酒です。「先々月に飲んだあれがおいしかったからまた買おう」と思っても、ほぼ間違いなく店頭にはありません。
「新酒」や「あらばしり」「おりがらみ」「ひやおろし」など、うつろう季節ごとに送り出される「今、この時だけ」の生酒たち。ラベルにも季節が反映されて凝ったものが多いです。今まさに旬でおいしい生酒はどれか、一番知っているのはお店の人なので、遠慮せず聞いてみることをお勧めします。
3.日本酒の楽しみ方いろいろ
飲み比べを楽しもう
自分の好みがどんなものか、今飲んでいる日本酒が甘いのか辛いのか、よくわからない、という方は多いと思います。日本酒は飲み比べてみると、とても違いのわかるお酒です。
家呑みではなかなか飲み比べはできないですが、手っ取り早く飲み比べのできる「試飲会」という方法はどうでしょうか。
実はあちこちで日本酒の試飲会は行われています。試飲会イベントとしては大きく2種類。
1つ目は、蔵元が酒販店やデパート・商業施設に出向き、自分たちのお酒を試飲販売するもの。試し飲みは、ちょっとずつではありますが、いろいろな種類を飲ませてもらえます。もちろん無料です。気に入らなければ買わずにその場を離れてもかまいません。
2つ目は、「試飲会」と称する大規模なイベントです。どこか会場を借りて、蔵ごと、あるいは地域の地酒の蔵元が集まってそれぞれブースを出し、酒だけではなく肴も提供しながら、自分たちのお酒を味わってもらうという趣向の会で、無料のものもありますが、ほとんどは入場時にチケットを購入する形になります。
どちらも、少しずついろいろな種類を呑み比べできるという点で、自分の好みも探りつつ、呑む楽しみも味わえるイベントです。こういったイベントは、「日本酒 試飲会」というワードで検索すると、たくさん出てきますよ。
近年、「呑み比べ」がコンセプトの飲み屋も、かなりな数の店舗が登場してきました。一杯ごとに定額料金のところもあれば、時間制呑み放題のところも。呑み比べができる、こういったお店を利用するのも方法です。
食事と一緒に楽しもう
日本酒はお米のお酒ですから、当然のように和食によく合います。白身魚のお刺身やおひたしなど、あっさりした淡白な味わいの料理には吟醸酒が合いますし、お出汁をきかせたお料理なら生酒はぴったりです。
ですが、もう日本の食卓のスタンダードになっている、和食ではない料理にも日本酒は合うのです。たとえばチーズや唐揚げ、シチューなど、こってりした味の濃いものに、純米酒や生酛系のお酒を合わせると、お互いが引き立ち、よりおいしく感じられます。料理に合わせて日本酒を選んでもいいですが、その日選んできた日本酒に合わせて、夕食のメニューを考えてみてもいいですね。それこそ、家呑みの醍醐味かもしれません。
うつわにも凝ってみよう
日本酒のタイプに合わせて、呑むうつわ(おちょこやぐい呑み)を変えると、それぞれのお酒のおいしさが引き立ちます。香りの立つ吟醸酒や大吟醸は、呑み口が開いたものを選ぶと、口元に持って行った時に、香りを華やかに楽しむことができます。

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また、燗酒をいただくときに、熱いのをくいくい行きたい人は、小さめの器を選ぶといいでしょう。ぬる燗がお好きな方は、ゆっくりとぬるくなるよう、大ぶりのぐい呑みに注いでもらうといいかもしれません。錫製や銅製のちろりを使うと、また雰囲気が出ていいですね。お燗をする時には、熱燗とはいえ、口につけて「少し熱いな」と思える程度が、日本酒の燗としてはほどよく香りの立つ温度です。あまり熱すぎるとアルコールや風味が飛んでしまいます。
また、通常は冷やしていただく生酒も、燗をつけるとまた別の味わいの出るものもあります。生だからといって燗をしてはいけない、ということではありません。
お酒のタイプとお猪口の組み合わせは、特にルールがあるわけではありませんので、出てくるお料理の雰囲気や、その時の気分、そしてお酒の持つムードに合わせて、素敵な酒器を選びましょう。おいしいお酒を雰囲気良く呑みたいと思うと、うつわを選ぶ楽しみもまた増えてきますよ。

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¥17,600(税込)
酒器:幅10.5cm×高さ11cm 重さ:170g 満水時:300ml ぐい呑み:幅6cm×高さ3.5cm 重さ:10g 満水時:50ml【手作りの為多少の誤差があります。】※1セットでの販売になります。
世界的に注目されている日本酒、ぜひおいしさを味わってほしい
日本酒は、キンキンに冷やしても、常温でも、燗をしてもOKでおいしいという、世界でも稀なお酒です。お米を育てた土壌から始まり、お米の種類や地元の水の性質、麹、作り手の技によってその味わいが全く異なり、さらに流通量の限られる、一期一会のお酒です。
日本酒は、頭で考えればとても難しいのかもしれませんが、呑み口はやさしく、やわらかい、料理にそっと寄り添うような味わいがあります。そのやさしくきれいな世界に、どうぞおいでください。そして一期一会の出会いを一緒に楽しみましょう。