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【はじめての厄払い】「厄」には理由がある。だからこそ行きたい、初めての「厄払い」

【はじめての厄払い】「厄」には理由がある。だからこそ行きたい、初めての「厄払い」

そもそも「厄」って何?なにかよくないことがあるの?どこに行けば払ってくれるの?そういった疑問も解消しながら、人生の節目節目にやってくる「厄」を払いに行きませんか。初めての厄払い、体験してみましょう。

Evelyn

この記事のアドバイザー

Evelyn

スローライフ派/元編集者


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目次

1.そもそも「厄」ってなに?

人生に3度訪れると言われる「厄」

「厄」。なかなか禍々(まがまが)しい漢字です。「厄」とは、字の通り「災厄」です。天変地異だけではなく、病の苦しみ、生活の苦しみ、人と人との関わりの辛さや障害など、心が「辛い」と思える事象全般を指します。そしてそれらは、悪霊とかの「神」的な、何かスピリチュアルなものからもたらされるとするのが、「厄」という考え方です。

昔から疫病神とか疫神、厄神、厄病神、たたり神という言い方があり、鎮守のためのお社が建てられたように、そういった霊的なものが人に憑くことを「厄」と呼んできたのです。

平安時代の頃から、「厄年」という考え方は日本にありました。源氏物語にも、藤壺中宮が厄年で病に伏した話が出てきます。「厄年」は、厄が憑きやすい年、いろいろとわずらわしいことが起こりやすい年として、古来から認識されてきました。厄年はいくつか諸説はあるのですが、おおむね以下のようにされています。

男性 25歳
42歳(大厄)
61歳
女性 19歳
33歳(大厄)
37歳
61歳

男性の25歳は独り立ちをする時期、42歳は社会的な責任が大きくなり負担も増える一方、体力が衰え始める時期、女性の19歳は(昔なら)婚姻・出産の時期、33・37歳は出産や子育て後の体調変化など、ホルモンバランスの変わる時期にあたります(女性の37歳は、36歳とする説もありますし、大厄とするところ、小厄とするところ、37歳は厄ではないとするところもあります)。

また、昔は還暦を過ぎることは本当に長寿の印だったので、60歳以降は厄も祝いも一緒になって「長寿を神仏に感謝に行き、さらに長生きできるよう祈祷する」ということなのではないか、といわれています。同じような考え方は「七五三」にもあります。男女の最小の厄年は3歳とされているとの説があり、七五三は、3歳・5歳・7歳まで無事生き延びたことを神に感謝し、さらなる成長を願って祝う行事ですから、これもある意味「厄払い」の別の形なのではないでしょうか。

いずれにせよ、この年齢のどれも、肉体面・精神面で変化の起きやすい時期で、どの人にもほぼ共通して訪れる「人生の節目」にあたるわけです。いろいろと厄介なものごとが起きやすい時期だから、慎ましやかに過ごしなさい、という先人の知恵が「厄年」なのです。

これらの厄年は「本厄」であり、その前の年に「前厄」、本厄の次の年に「後厄」があります。

前厄、本厄、後厄、いつ厄払いをすればいいの?

「前厄」とは、厄が起きつつある前兆が見えてくる年、「本厄」は厄という変調が表れる年、「後厄」は、変調が次第に弱まりつつある年、とされています。変調の大きさで言うと、本厄、前厄、後厄の順になります。

ですが、厄の現れ方は人によりさまざま。本厄の年でも絶好調の人もいるでしょうし、そういう方は厄払いなど全く気にしないでしょう。逆に、少しでも不安のある方は、前厄も本厄も後厄もすべてお祓いをしないと気が済まないかもしれません。また、厄年ではないけれど、どうも調子が悪い、うまくものごとが回らないのでお祓いをしてほしい、という方もいらっしゃるでしょう。

厄払いは、前厄、本厄、後厄のどの年に行ってもよく、また厄年にこだわらず行っていいものです。人生の節目とされる時期に、何かイベントがある時、たとえば独立して会社を立ち上げる、子どもが生まれる、転居をする等、自分自身もしくは自分の環境の変化に対し、良くないことが何も起きないように、厄が憑かないようにとあらかじめ神仏にお願いし、身を清めるのも「厄払い」だからです。

本来の年と数え年、どちらを使う?

この「厄年」の年は「数え年」で数えます。「数え年」とは、「生まれた年を1歳と考える」年です。たとえば2000年3月1日生まれの人は、通常ならば2001年3月1日に1歳になりますが、数え年では2000年12月31日までは1歳、翌日の2001年1月1日に2歳になるという数え方です。人は母親のおなかの中にいる時から年をとる、という考え方から「数え年」は来ているとされています。

数え年での、年を取るタイミングは3種類あります。

①旧暦の1月1日に年をとる
②立春の日に年をとる
③新暦の1月1日に年をとる

このうち、現在の数え年は③のタイミングを採用しているところがほとんどです。

以前は公的な行事や一般的なならわしでも「数え年」で年齢を見るのが普通でした。現代で使われている満年齢(誕生日が来たら1歳年をとる)に変わったのは1950年のことです。厄年の考え方は古来からのものですので、数え年で数える、という風習をそのまま使っているわけです。

とはいえ、自分の数え年が何歳か、現代ではなかなかわかりにくいものがありますよね。ほとんどの寺社仏閣では、厄年の早見表に年号と年を掲示して、前厄・本厄・後厄に該当する生まれ年がわかるようにしています。あまり数え年については悩まず、思い立った時にお祓いをお願いするのがいいのではないでしょうか。

2.「厄払い」と「厄除け」、何が違うの?

この記事のタイトルは「はじめての厄払い」ですが、世間には「厄除け」という言葉もあります。さて、「厄払い」と「厄除け」は何が違うのでしょうか。

厄除けで有名な川崎大師

神社では「厄払い」お寺では「厄除け」

神社で祈祷をするとき、神主さんが振る、細い白い紙のたくさんついた棒を見たことがありますか。大麻(おおぬさ 「祓串」「はらいくし」とも言う)といい、お祓いという、心身から穢れを取り去り清浄にする神事を行う時に必携の神具です。このことから、厄を取り去ることを神社では「厄払い」もしくは「厄祓い」といいます。

一方お寺では、護摩祈祷という、仏の智慧の火で煩悩や苦しみの根源を焼き、厄が寄り付かないようにする仏行を行います。そのことから「厄除け」という言葉を使います。ですが、神社で「厄除け」、お寺で「厄払い」を使っているところもあるので、あまり厳密な意味ではないのかもしれません。

神社と寺、どちらに厄払い、もしくは厄除けに行くべきかは、どちらでもいいようです。あえて言うなら、ご自身の信仰に近いところでしょうか。ご利益のありそうなところを選んでも良さそうです。

日本人は昔から神仏習合の考え方に慣れ親しんできました。元旦には神社に初詣でに行き、死んだら仏となるための葬式をします。森羅万象の中に八百万の神があることをそれほど違和感もなく受け入れてきたのです。何かにつけて神や仏に祈ることは、ある意味とても日本人らしい行為なのかもしれません。

厄払いのお札と普通のお守りとの違い

厄除けや厄払いを行った後は、神社またはお寺から授与品をいただきます。お寺からは「護摩札」というお札を授かります。神社からはおおむね「お札」が授与品となりますが、神社によっては破魔矢の場合もあります。これらのお札は、神仏のご神体・ご本尊と同等のものとして授与されます。家の清浄なところ、南か東を向いた場所に置き、この1年無事に過ごせるようお守りいただくためのものです。

これとは別に、神社仏閣でお札やお守りを取り扱っていますよね。特に神社では、健康祈願や病気平癒のためのお守り、家内安全・交通安全のお守り、商売繁盛や出世祈願のお守り、縁結びのお守り、安産祈願・子授祈願のお守り、合格祈願や学業成就のお守りなど、多種多様なお守りを授与しています。神社に祀られている神様によっても、お札やお守りの種類は変わります。

これらのお守りは、それぞれの祈願内容ごとにお守りに込められたご祈祷の内容が異なります。厄払いの時に行う「不浄を取り払う」お祓いとは違い、ご祈祷は神に向かい「願い」を言葉にして「祈り」をささげます。その祈願ごとにお守りの種類があるのです。

もちろん、お守りのひとつひとつにご神体・ご本尊が込められており、身につけることで守って下さることは変わりませんが、厄払い・厄除けの授与品とは、ご利益の内容に違いがあるのです。

厄除け・厄払いに効くとされるさまざまなものごと

神社やお寺で行う厄払いや厄除けだけではなく、日本人は昔から、厄を寄せ付けないためのいろいろなものごとを行い、身につけてきました。いくつかご紹介します。

『厄を落とす』ためのいろいろ
・自分が身につけているもの(櫛やハンカチなど)を厄のついた自分自身とみなし、それを道にわざと落とす。
・子供を出産する、もしくは、厄年に生まれた子供を一旦捨てる(ふりをする)。
・節分に豆まきをすることで、邪気を払う。
・大勢の人を招いてご馳走をする。

この「人を招いてご馳走」は「厄祝い」とも言い、三重県、とくに松阪市の近辺で行われている行事です。厄年の人が多くの方を招いてご馳走をふるまい、引き出物を贈ることで、少しずつ自分の厄を持ちかえってもらう行事です。

『厄を寄せ付けない』グッズいろいろ
・長いもの(帯など):長寿のしるしとされています。
・うろこ模様のついたもの:蛇が脱皮をくりかえすことから、厄を脱ぎ捨てる意味で使われています。
・麻の葉模様:麻は成長が早く強いことから、子供の衣類に用いられてきました。
・鮫小紋:サメの肌が鎧のように硬いことから、災厄から身を守るとされています。
・七色のもの:仏教の経典「七難即滅七福即生」にちなみ、難を取り去り福を生むという言葉から。豆まきの時にこの言葉を言うお寺もあるようです。
・南天の木・実:難を転じるということにちなみ、家の鬼門にあたる北東に植えられたり、祝い事の飾り等に使われています。

南天の木

3.実際の「厄払い」「厄除け」はこんな感じ

神社で受ける「厄払い」

日枝神社(筆者撮影)

東京で厄払いの御利益があるとされる、赤坂の日枝神社での厄払いの様子を見てみましょう。

日枝神社は、比叡山のふもと、琵琶湖のほとりにある日吉神社と同じく山王信仰の神社で、比叡山の神である「大山咋神(おおやまくいのかみ)」を祀っています。古くは比叡山のことを「日枝山」「日吉(ひえ)山」と呼んでいたそうで、全国の日枝神社、日吉神社には山王信仰をあらわす特徴のある鳥居があります。

日枝神社 表参道(筆者撮影)

赤坂日枝神社の住所は千代田区永田町。近所に国会議事堂も首相官邸もあるという、とんでもない場所です。日枝神社は江戸城の裏鬼門にあたり、江戸城の鎮守、将軍家や諸大名が祈祷に訪れた、歴史のある神社。星が岡という名の丘の上にあり、地元では山王さんと呼ばれ親しまれています。6月中旬に行われる山王祭は、神田祭、深川祭と並んで、江戸三大祭のひとつに数えられます。

日枝神社の本殿両脇には狛犬ではなく猿の像が置かれています。山王信仰では猿が神使とされていて、日枝神社では「勝(まさる)」勝運の神、「魔が去る」魔除けの神としてお守りやおみくじのアイコンにもなっています。こんなことからも厄払いの御利益が感じられますね。

日枝神社の「まさる」 御朱印をお願いするといただけるストラップ

まずはご祈祷の受付を行います。祈祷を申し込みたい内容を、願意と第二願意まで指定し、名前、住所、生年月日と年齢、さらに厄年の人は前厄か本厄か後厄かを明記します。受付は申込書を手書きでも受け付けますが、タブレットで入力もできます。お宮に来る前に、神社のHPからあらかじめ入力しておくことも可能です。

ご祈祷希望の人数が少なければすぐに案内されますが、多い場合は少し待機所で待つことになります。本殿の右にある祈祷殿でご祈祷は行われます。

最初に神主が神に「これから祈祷を行う」旨の祝詞を奏げ、大麻をもって参拝者を祓い清めます。次に禰宜が神前に進み、祈祷に来ている方の住所と氏名、願意を声に出して唱えながら祝詞を奏上、金幣を振って参拝者を祓います。巫女が鈴と扇で神楽舞を献上し、その鈴で参拝者を祓います。鈴には悪霊を払う意味があります。

そして参拝者は、神の加護を取り込むため神前にある七連の鈴を自ら鳴らし、二礼二拍手一礼を行います。最後にお清めのご酒をいただき、授与品を受け取って、ご祈祷は終了です。

日枝神社の授与品(お札)

お寺で受ける「厄除け」

wikiの「厄年」によると、関東での「厄除け三大法師」は「西新井大師」「川崎大師」「観福寺大師堂」とされています。ここでは、「川崎大師」での厄除けの様子を見てみましょう。

川崎大師本堂 五色の幕は仏の教えの5つの知恵を表します

川崎大師は「金剛山金乗院平間寺」といい、真言宗智山派の大本山です。初詣の参拝者数は約310万人、全国で第2位にランクインする有名なお寺ですね。一般的に川崎大師と呼ばれていますが、別名「厄除弘法大師」ともいい、厄除けのオーソリティ的な寺院です。

大山門を入り、本堂右手にある「お護摩受付所」で厄除けの申し込みをします。申込用紙に年齢、氏名、住所、祈願料を書き、授与品を木札か懐中紙札かのどちらかを選びます。そしてお護摩の時に一緒に祈祷してもらう願い事を一覧から選び、チェックを入れます。願い事は「厄災清除(やくよけ)」「家内安全」「商売繁盛」など20項目程度から選べるようになっています。

護摩修行は、午前中は早朝6時から計4回、午後は3回(日曜日と21日は4回)あり、申し込みをした後の回で護摩供をしていただけます。申込者が多い場合は時間は後にずれることもあります。本堂に入ると、伽藍の上部が護摩を焚く火のすすで真っ黒になっているのが見えます。護摩供の準備をする間、僧侶が川崎大師の成り立ち等を解説してくれます。

お護摩は、心身を浄めた導師が、伽藍の中央にある護摩壇の炉に護摩木をくべて焚き、厄除けを行う人の煩悩を焼き清める行です。護摩木はヌルデとかゴンズイといった柔らかい木が用いられており、仏の知恵の火である炎のなかに、仏の口に入る供物としてくべられるのです。

護摩行

お護摩が始まると、護摩行を行う導師とは別に、脇に座した十人ほどの僧侶が、鳴りものとともに声明を唱えはじめます。厄除けを受ける参拝者は、その間合掌をして、川崎大師の宝号である「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」を、願いともに唱えます。

護摩供が納まると、参拝者は伽藍の内側に案内され、ご本尊の近くまで行くことができます。そこで願意とともに合掌します。最後に、自分の名前の書かれた護摩札を受け取って、厄除けは終了です。

川崎大師護摩札(祈祷料によってお札の大きさが変わりますが、ご利益に変わりはないそうです)

1年経ったらきちんとお礼参りに行こう

「厄払い」も「厄除け」も、今年1年の厄を寄せ付けずにいられるよう祈祷していただくものです。1年経つと、いただいたご神体・ご本尊の込められたお札の効力はなくなります。自分を守ったお札をお返しするのと、1年無事に過ごせたことへの感謝を表すため、きちんとお礼参りに行きましょう。

お正月や旧正月でおこなうどんど焼きで、よそのお札を受け付けてくれる寺社もありますが、やはりお札をいただいた元の寺社にお納めするのが礼儀ではないでしょうか。

「厄払い」「厄除け」は昔からの人々の知恵

「厄」と聞くとちょっと不吉な感じで「自分は関係ない」とスル―してきた方もいらっしゃるかもしれません。もちろん何の問題もなければ、無視してかまわない概念です。ですが、人の人生にはいろいろあります。常に順風満帆な状態でいつづけることはありません。つまづくことも、落ち込むこともあるでしょう。

そんなときに、自分を責めるのでなく、辛いことの理由をどこかに振ってみる。禍つ神が悪さをするから、厄がついたから、いろいろなことが上手くいかない、そう思ってみる。そしてそれを「払う」「除ける」ことで、「自分は大丈夫」と立て直すきっかけがもらえれば、意外に平穏に1年を過ごすことができる・・・。「厄払い」は、神さま仏さまの力を借りた「自分応援システム」なのではないかと思うのです。

つまづきやすい時期、いろいろなものごとがうまくいかない時期を「厄年」とし、そういう時の乗り切り方を、ある意味文化的な方法で伝承してきた昔からの人々の知恵。

気持ちが弱っている時に、その知恵に頼ってみるのも、いいかもしれません。

Evelyn

この記事のアドバイザー

Evelyn

スローライフ派/元編集者




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