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東京多摩地区のベッドタウンを走る京王線に初めて乗ってみよう!

東京多摩地区のベッドタウンを走る京王線に初めて乗ってみよう!

東京都心と郊外のベッドタウンの間は、いくつもの私鉄路線によって結ばれています。東京のどこで生活するか、また郊外でのレジャーをどう楽しむか。それは、それぞれの私鉄の特徴を把握することがポイントになります。今回は、新宿から多磨南部地域を東西に走る京王線を中心に説明しましょう。

鼠入昌史/鉄道ライター

この記事のアドバイザー

鼠入昌史/鉄道ライター

全国の“なんの変哲もない”鉄道駅や路線を訪ね歩くのがライフワーク


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目次


1日に300万人以上が利用する世界一巨大なターミナル・新宿駅。その地下にあるホームから出発して八王子や高尾方面を目指すのが京王電鉄京王線です。また、この京王線に加えて京王電鉄は渋谷〜吉祥寺間の井の頭線も運営しており、沿線地域においては重要な通勤通学路線となっています。

また、同じく新宿と八王子を結んでいるJR中央線と比べると120円も運賃が安いという“お得感”も意外と捨て置けない特徴のひとつ。通勤定期代は会社負担という人も多いでしょうが、通学利用や休日の利用などを考えれば財布への優しさはバカにできません。

けれど、これは他の私鉄にも共通しますが、列車種別が多く慣れないとスムーズに乗りこなせないところはいくらか厄介な特徴です。そのあたりを含めて、京王各線について解説します。

1.京王線はどこを走っている?

京王電鉄の路線網を把握しよう

京王電鉄の路線は次のとおりです。

   ・京王線 京王新線 相模原線 競馬場線 動物園線 高尾線
   ・井の頭線

新宿〜京王八王子間の京王線とそれに続く5路線は、いわばひとつの路線系統の仲間と言えます。京王新線(新線新宿〜笹塚間)は正確に言うと京王線の別線という扱いで単独の路線とは違いますが、新宿〜笹塚間に京王線にはない駅が2つ(初台駅・幡ヶ谷駅)があり、さらに新宿駅からは都営新宿線に直通するという特徴を持っています。

いっぽう、井の頭線はこの京王線系列とはルーツから異なる別系統の路線。渋谷から吉祥寺をほぼ直線で結ぶ路線です。途中の明大前駅で京王線と接続しています。京王線とはレールの幅も異なるほど性質の違う路線ですが、都心と多摩地区を結ぶという役割は基本的には変わらないと言っていいでしょう。

京王線の特徴は?

京王線はおおむね甲州街道に沿って走っています。甲州街道は江戸時代の五街道のひとつで、歴史のある町が道筋沿いに連なっています。京王線は、いわばそうした古い町をつないで走る鉄道路線というわけです。

途中には映画の街として知られる調布駅、武蔵国の国府があったとされる府中駅、JR南武線と接続する分倍河原駅などがあります。中河原〜聖蹟桜ヶ丘間で多摩川を渡り、聖蹟桜ヶ丘駅付近はジブリ映画『耳をすませば』の舞台となったことでも有名です。

終点の京王八王子駅は、JR中央線の八王子駅から徒歩5分ほど離れていますが、八王子の中心地市街地にも近く、不便に感じることはないでしょう。八王子から新宿まで、運賃では京王が安く、時間ではJRのほうが早くなっています。

調布から分岐する相模原線は、多摩ニュータウンへのアクセス路線。京王電鉄の中でも最も新しい路線で、沿線はおもにニュータウンが広がっています。

東府中〜府中競馬正門前間の競馬場線と高幡不動〜多摩動物公園間の動物園線は、いずれもわずか1駅間だけの短い盲腸線。東京競馬場・多摩動物公園へのアクセス路線です。

そして北野駅から分かれる高尾線。こちらは高尾駅でJR中央線と接続している他、終点の高尾山口駅は高尾登山の玄関口。行楽シーズンは多くの人で賑わう、情緒あふれる駅のひとつです。

井の頭線の特徴は?

渋谷〜吉祥寺間の井の頭線。
終点の吉祥寺からはJR中央線。中央線沿いに暮らす人たちが渋谷に出るときには必ずといっていいほど利用する路線です。

中間では他路線との接続が明大前の京王線と下北沢の小田急線だけと、少々地味な印象があるかもしれません。高架区間も多く大動脈らしい京王線に比べると、沿線風景もどちらかというとのどかで緑豊か。梅雨時には線路脇にあじさいの花が咲き、通勤通学時の目の癒しになってくれます。

途中の駅ではなんといっても下北沢駅でしょうか。かつては小田急線と改札口を共有しており、いかにも仲が良さそうに交差していました。実は戦前の一時期、井の頭線は小田急の路線だったという歴史を持っています。戦時中から戦後にかけての鉄道事業者の再編で現在の形になったのですが、戦前の下北沢駅は“同じ会社の路線同士の乗換駅”。改札口を共有していたのもうなずけます。

終点の吉祥寺駅が近づくと、井の頭公園の最寄り駅(というよりはほとんど公園の中にある駅です)の井の頭公園駅。吉祥寺から井の頭公園までもすぐですが、井の頭公園駅のほうがのどかでのんびりしているので、こちらから行くのもおすすめです。

2.複雑な列車種別完全解説

特急・準特急の違いって?

井の頭線は急行と各駅停車しかないので比較的わかりやすいのですが、問題は京王線。有料着席列車の「京王ライナー」を除くと列車種別は特急・準特急・急行・区間急行・快速・各駅停車の5種類。どこで接続するのか、どれが一番早いのか、慣れていないと間違いなく戸惑ってしまうでしょう。

特にややこしいには、特急と準特急。どちらも“特急”とは言え運賃だけで乗ることができるごくフツーの通勤電車です。ただ、特急と準特急は何が違うのか。それは、千歳烏山駅に停まるかどうかと、京王高尾線内を各駅に停まるかどうか。もちろん“準”特急のほうが停車駅が多くなっています。

また、運転パターンも複雑で、新宿からの下り列車は京王八王子行・高尾山口行・橋本行のおおむね3パターン。それに加えて5パターンの列車種別だから悩ましいのですが、特急・準特急が他の列車を追い抜くのは基本的に調布駅。それを頭に入れておけば、「調布まで特急で行って、各駅停車に乗り換えて」といったプランを組み立てることができるでしょう。

なお、朝のラッシュ時間帯は特急と準特急の運行はなく、急行と区間急行だけの運行。どちらも停車駅が多めで所要時間が増えるのですが、そのぶん列車本数を大幅に増やして1列車あたりの混雑を緩和しています。ラッシュ時、前の電車が見えるのではと思うほどに接近しながら走るのは京王線名物のひとつです。

“必ず座れる”京王ライナー

「京王ライナー」とは、2018年2月22日から運転が始まった京王線・相模原線の列車です。最近各社がサービス向上の一環で導入している、“有料座席指定列車”のひとつ。事前に座席指定券(410円)を購入することで、必ず座ることができるシステム。通勤の悩みである満員電車に苦しまずに済むのところは嬉しいですね。

現在、朝には京王八王子発の上り3本、橋本発の上り4本の計7本、夕方以降は京王八王子行と橋本行の下りが7本ずつの計14本が走っています。途中停車駅は府中・分倍河原・聖蹟桜ヶ丘・高幡不動・北野(京王線)、京王永山・京王多摩センター・南大沢(相模原線)。府中以西など比較的長く利用する人に向けたサービスといえるでしょう。

もちろん1回乗るごとに運賃とは別に410円かかるので、いつも使うというわけにはいきません。でも、疲れがたまっているときや寝不足のとき、お酒を飲みすぎてしまったときなど、どうしても「座りたい!」日には410円は安いもの。各席にはスマホ充電用のコンセントもありますし、たまには優雅で快適な通勤もいいかもしれません。

都営新宿線への直通運転

京王線の特徴のひとつは都営新宿線への直通運転です。京王新線経由で新線新宿駅ホームからそのまま地下鉄に入って、新宿三丁目駅や神保町駅、森下駅などを経由して本八幡駅まで向かいます。新宿線は他路線と直接乗り換えられる駅が少ない印象ですが、例えば岩本町駅は神田駅や秋葉原駅まで徒歩10分かかりませんし、使い方次第では相当便利になるはずです。

気をつけたいのは、新宿線に直通する電車は基本的に京王相模原線(橋本・京王多摩センター)系統であること。相模原線の快速や区間急行が基本的に新宿線直通列車になります。そのため、府中や高幡不動から都営新宿線に行きたい場合は、乗り換えなければならないケースが多くなってしまいます。それでも笹塚駅では対面ホームで新宿線の電車と乗り換えることができるので、不便というほどではありません。

3.通勤だけじゃない、京王線の魅力

高尾山なら京王線

東京を代表する通勤電車であり、実際朝のラッシュ時には大変な混雑になる京王線。ですが、同時にレジャーのための路線としても大活躍しています。いろいろありますが、特に大きいのが高尾山。

高尾山のハイキングを楽しむためには、高尾山口駅でケーブルカーに乗り換えるのが一般的(もちろんケーブルカーを使わずに登り切るルートも!)。JR中央線にも高尾駅がありますが、そこから歩くには遠すぎます。そこで京王高尾線に乗り換える人が多いのですが、ならば最初から新宿で京王線に乗ってしまいましょう。約50分で高尾山口駅に着き、すぐにハイキングが楽しめます。高尾山口駅近くでは車窓もまさに“山の中”。それも魅力のひとつです。

味スタ、サンリオ、競馬場……沿線観光スポット

もちろん、京王線沿線の魅力はそれだけではありません。沿線にはたくさんの楽しいスポットが並んでいます。

昨年のラグビーワールドカップの会場にもなり、東京オリンピック・パラリンピックでも会場になる予定の味の素スタジアム(東京スタジアム)は、京王線飛田給駅が最寄りです。府中競馬正門前駅はその名の通り東京競馬場。日本ダービー当日には約10万人が訪れる競馬の聖地の玄関口で、競馬開催日には京王線直通列車も運転されるほどです。

他にも、京王多摩センター駅近くのサンリオピューロランド、多摩動物公園駅の多摩動物公園(コアラがいます!)など、休日を過ごすスポットが目白押し。これだけ揃っている沿線は他にないのでは、と思うほどの充実ぶりです。ちなみに、映画を見たければ調布駅も府中駅前にシネコンがあるのでこれまた安心ですね。

東京の多摩エリアを駆ける“私鉄沿線”の楽しみ方

駆け足で見てきた京王線の特徴と魅力、いかがでしょうか。中でも特に強くお伝えしたいのは、京王線ならではの雰囲気です。駅を降りるとすぐに細い路地が伸びていてそこには昔ながらの商店街があり、少し歩けば公園もたくさん。東京都心、世界一のターミナル・新宿からほんの数十分で、まったく別世界のようにゆっくり時間が流れる場所にやってこれる。それが、京王線の特徴です。

その中で、調布や府中のように買い物から外食などなんでも済んでしまうような町もあるし、レジャースポットもたくさん。特急・準特急などの列車種別を理解して乗りこなすのには少し時間がかかるかもしれませんが、昼間は10分おきに特急と準特急が交互に走る!といったポイントさえ抑えてしまえば大丈夫。首都圏の大手私鉄の中では少々地味な印象もある京王電鉄ですが、“地味だからこそ”の魅力が詰まっているんです。

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全国の“なんの変哲もない”鉄道駅や路線を訪ね歩くのがライフワーク




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