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東京での新生活、まずは「山手線」に乗ることからはじめよう!

東京での新生活、まずは「山手線」に乗ることからはじめよう!

東京の都心をぐるりと一周走る山手線。東京での暮らしには欠くことのできない鉄道路線です。でも、乗ったことがないとどちら方向の電車に乗れば早く目的地に着くのかがわからないなど、シンプルが故に“乗り間違え”しやすい路線でもあります。そんな山手線を乗りこなすコツをレクチャーしましょう。

鼠入昌史/鉄道ライター

この記事のアドバイザー

鼠入昌史/鉄道ライター

全国の“なんの変哲もない”鉄道駅や路線を訪ね歩くのがライフワーク


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目次

新年度、進学や就職で東京に出てきて新生活をはじめる人も多いのではないでしょうか。どちらかというとクルマ社会の地方から上京して最初に経験するカルチャーショックのひとつが、“東京都心の鉄道網”。長編成の列車が間断なくホームに滑り込み、たくさんの人が乗っては降りて……。どの路線に乗れば目的地に着くのか、それを把握するのにも一苦労。それでも、この複雑怪奇な東京の鉄道網に慣れなければ、快適な東京ライフを過ごすことはできません。

そこで、今回はすべての東京の鉄道のいわば“中核”とも言える山手線を取り上げます。山手線はぐるぐる一周回って走っているがゆえ、どちらに乗ればいいのかわかりにくいのが難点。そんな山手線を乗りこなすポイントと楽しみ方をご紹介しましょう。

1.山手線はどんな路線?

東京と言えば、山手線

山手線はどこを走っているのか

言うまでもありませんが、山手線は東京のちょうど中心をぐるりと環状に走っている路線です。その大きな特徴は、ほとんどの駅で他路線と乗り換えができるということ。全部で30駅のうち、山手線の単独駅は新大久保駅と目白駅、そして今春新たに開業した高輪ゲートウェイ駅の3つしかありません。

各駅での乗り換え路線は山手線内を走る地下鉄、都心から郊外までを結ぶ郊外路線の2種類に分けられます。山手線は単に環状運転で東京の主要な街を結んでいるだけでなく、郊外路線と地下鉄の結節点という役割も持っていることになるのです。

山手線の路線図

6大ターミナルの位置を把握しよう

郊外路線と地下鉄の結節点という役割を持つ山手線の各ターミナル。その中でも、とりわけ大きな駅が6つあります。それは東京・品川・渋谷・新宿・池袋・上野。東京駅は新幹線も乗り入れる東京と地方を結ぶ中心的なターミナルですし、新宿駅は日本一の利用客を誇るマンモスターミナルです。

東京駅

ここで重要なのは、この6大ターミナルの位置関係を把握しておくこと。山手線は環状運転と言っても円ではなく縦に細長い楕円形をしています。その東側の北から上野・東京・品川。西側も北から池袋・新宿・渋谷の順でほぼ等間隔に並んでいます。山手線の行き先は「品川・渋谷方面」のようにだいたいこの6大ターミナルで示されるので、目的の駅がどのターミナルに近いかを把握しておけば乗り間違えて遠回りすることもなくなるでしょう。

内回りと外回りはどっちがどっち?

山手線の駅では、行き先を主要ターミナル名で表示するケースもあれば、内回り/外回りで案内されることもあります。前者の場合はターミナルの位置関係を把握していれば対応できますが、内回り/外回りは少し厄介です。それぞれの意味は、複線(つまり線路が2組)のうち内側を通るのが内回りで、外側が外回り。でも、これだけではどの方向に向けて走るのかがわかりません。

内回り/外回りという案内から行き先を知る方法は簡単です。日本では鉄道もクルマと同じように原則“左通行”。これさえわかっていれば、今いる駅でどちら方面に向かうのが内回りなのかがわかるはずです。もう少し具体的にいえば、東京を中心として内回りは上野・池袋・新宿に向かって走ります。対して外回りは品川・渋谷・新宿方面。これで山手線に乗る時に、「どっちに乗ればいいの?」と迷うことはなくなるでしょう。

内回り?外回り?

2.山手線を乗りこなすポイント

山手線一周にかかる時間は?

山手線は環状運転なので、間違えて反対方向の電車に乗ってもいつかは目的地に到達します。一周にかかる時間はおおよそ1時間。正確には列車ごとに異なっていて、平均すると63〜64分くらいです。この春に高輪ゲートウェイ駅が開業したことで「所要時間が増える」という声も聞かれますが、時刻表上は所要時間に変化はありません。

また、運転本数が多いことでも有名で、朝のラッシュ時には2〜3分間隔、昼間も4〜5分間隔で電車がやってきます。ホームへの階段を降りている時に発車メロディが聞こえてきても、慌てて駆け込む必要はナシ。少し待っていればすぐに次の電車が来る点はさすが天下の山手線と言ったところです。ちなみに、最も混雑している区間は内回りで新大久保から新宿まで、外回りで上野から御徒町までの区間。いずれも混雑率は150%台で、首都圏の他の路線と比べると空いている方に入ります。

実は山手線に乗らないほうが便利?

わかりやすい例を出せば、新宿から東京に向かう時に山手線に乗るのは愚の骨頂。山手線だと35分ほどかかりますが、都心を東西に走る中央線なら14分。よほど暇をしているのでもなければ、山手線を選ぶ必要はありません。

同様に、山手線内には多くの地下鉄路線が通っているので、少し離れた駅同士であれば山手線ではなく地下鉄を使って短絡することができるのです。例を挙げると新橋から渋谷ならば地下鉄銀座線、東京から池袋ならば地下鉄丸ノ内線。地下鉄は駅名が山手線と一致していないこともあるのでわかりにくいですが、有楽町駅と日比谷駅のように事実上同一の駅というケースもあります。なので、恵比寿から有楽町に行くならば地下鉄日比谷線を使うのがベストです。

最初にも説明したとおり、山手線は郊外路線と地下鉄の結節点。山手線に乗るのはせいぜい4〜6駅程度にとどめておき、それ以上の場合は地下鉄で短絡できないかどうかを考えてみることをおすすめします。

都心を東西に走る中央線

3.山手線を楽しもう

山手線は車窓もダイナミック!

山手線は都心のいわゆる“通勤路線”であるがゆえ、車窓を楽しむような路線ではないと思うかもしれません。ですが、実は山手線ほどダイナミックな車窓を持つ路線はないと言っていいでしょう。手っ取り早く“東京”を知るには、山手線ほどふさわしい路線はありません。

東京駅から簡単に一周してみましょう。新橋付近までの高架は大正時代に建設された日本最古の高架橋。浜松町駅付近ではビルの合間に東京タワーが見られます。高輪ゲートウェイ駅はかつて海の上だった場所に設けられた新駅。品川駅からはぐっと大きくカーブして進路を変えますが、ここからは小さな起伏が多い武蔵野台地の高台の上を走るので高架と地上、掘割を繰り返すのが特徴です。新宿駅のすぐ北にある大ガードは右手に歌舞伎町のネオン、左手に高層ビル群が望めるザ・東京。

かつてA級戦犯が処刑された巣鴨プリズン跡のサンシャイン60を見ながら池袋を過ぎると、まっすぐ進行方向の先には東京スカイツリーがそびえています。田端駅の手前では一気に台地の崖を駆け下りて、急に空が大きく見える山手線の車窓のハイライト。上野駅までは台地の崖にへばりつくように走ります。上野駅手前の鶯谷周辺にきらめく“ラブホのネオン”もいかにも東京らしい光景ですね。そして秋葉原駅を過ぎると神田川を渡って神田、そして東京駅へと戻ってきます。

ちょっとマニアックな山手線スポット

このように、意外と楽しめる山手線一周の旅。ぼんやり眺めているだけでも充分面白いのですが、もう少しマニアックなポイントも紹介しましょう。

ひとつは、駒込〜田端間にある第二中里踏切。これは山手線では唯一の踏切として有名です。まもなくなくなってしまうという噂もあるので、今のうちに足を運んでおくといいでしょう。この近くには山手線最後の“トンネル”の跡も残っているので、あわせて訪れたいところ。

目黒駅の少し北にある跨線橋も山手線マニアにはたまらないスポットです。古いレールを白く塗って橋脚に使った白金桟道橋という跨線橋で大正時代からの歴史も魅力ながら、ドラマ『東京ラブストーリー』でリカがカンチに「セックスしよ!」という名言を放った場所でもあるのです。こうしたスポットを巡りつつ山手線さんぽ、充実した休日になると思いませんか。

山手線唯一の踏切。その先にはゴルフボール?

“東京”を知るならまずは山手線に乗るべし!

今年の春、30番目の山手線の駅として高輪ゲートウェイ駅が開業しました。今はまだ周囲には何もありませんが、今後再開発が進んで大きな街ができあがる予定。このように、日々移り変わる“東京”を肌で感じることができるのが山手線なのです。

さらに上野や日暮里の周辺には歴史風情を感じることのできるスポットも点在しています。最先端から歴史まで、東京の“いま”が詰まった一周約1時間。東京に来たら、山手線に乗る。きっと、東京のいまを感じることができることでしょう。

渋谷の街を走る山手線

降りて、見て、歩いて、調べた 山手線30駅 | 鼠入 昌史 | Amazon

¥1,320(税込)

山手線は東京の鉄道を象徴する路線である。11両もの長大な編成が1時間かけて東京の中心部をぐるり一周。東京駅や新宿駅、渋谷に上野に池袋と、東京を代表する町もめぐることができる。

鼠入昌史/鉄道ライター

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