「はじめて」をわかりやすく。

”わかりにくい”印象の東京の地下鉄も、これを読めば完全制覇!

”わかりにくい”印象の東京の地下鉄も、これを読めば完全制覇!

東京の生活には欠かせない地下鉄路線。ただ、上京したばかりの人にはほとんど乗りこなすのは不可能と言えるほど複雑です。そんなやっかいな東京の地下鉄をわかりやすくひもといていきましょう。

鼠入昌史/鉄道ライター

この記事のアドバイザー

鼠入昌史/鉄道ライター

全国の“なんの変哲もない”鉄道駅や路線を訪ね歩くのがライフワーク


CLOSE

目次


東京で暮らすならば、日常生活にも仕事にも欠かせないのが“地下鉄”です。おおまかにいえば山手線の内部、つまりは東京の中でもとりわけ“都心”といえるエリアを地下鉄網が文字通り蜘蛛の巣のごとく張り巡らされています。その路線数は実に13路線、総距離は300kmを超えるほど。 “地下鉄を制するものが東京を制する”といってもいいくらい、重要な存在なのです。

とは言え、狭いエリアにこれだけの地下鉄が走っているのだから複雑さも日本一。何十年と東京で生活している人でも、地下鉄に乗るときには乗換案内アプリなどを使うケースがほとんどでしょう。そこで、ここでは東京の地下鉄に初めて乗る皆さんのために、攻略のポイントを紹介しましょう。

1.東京の地下鉄の概要

東京の地下鉄には2種類

ひとくちに東京の地下鉄と言っても、話はそう単純ではありません。東京の地下鉄を運営しているのは、東京メトロ(正しくは東京地下鉄)と都営地下鉄(東京都交通局)の2つ。前者は元営団地下鉄と聞けば、懐かしさを感じる人もいるかも知れません。後者は都営、つまり東京都が運営する公営交通ということになります。それぞれの路線は次のとおりです。

<東京メトロ>
銀座線    浅草〜渋谷
丸ノ内線    池袋〜荻窪・中野坂上〜方南町
日比谷線    北千住〜中目黒
東西線    中野〜西船橋
千代田線    北綾瀬〜代々木上原
有楽町線    和光市〜新木場
半蔵門線    渋谷〜押上
南北線    目黒〜赤羽岩淵
副都心線    和光市〜渋谷

<都営地下鉄>
浅草線    西馬込〜押上
三田線    目黒〜西高島平
新宿線    新宿〜本八幡
大江戸線    光が丘〜新宿〜都庁前

地下鉄のラインカラーを覚えよう

2社13路線が走る東京の地下鉄。乗り換えのパターンを含めて考えれば、その複雑さは常人の理解の範囲を超えているといってもいいでしょう。では、どうすればこの13路線を簡単に把握することができるのでしょうか。その助けになるのが、ラインカラーです。路線それぞれに1色ずつラインカラーが与えられていて、その色はまさに路線のイメージそのものにもなっています。

例えば、銀座線ならばオレンジ色。今の銀座線はレモンイエローというインパクトのある車両が走っていますが、それ以前はオレンジ色の帯を纏っていました。ホームでの駅の案内表示にもオレンジ色が使われ、いつも乗っている人にすれば“銀座線”と聞いたらオレンジ色が頭に浮かぶほど。これは他の路線でも同様で、東西線なら薄いブルー、大江戸線なら紫色。路線そのものだけでなく、沿線のイメージに結びつくことも少なくありません。

また、ラインカラーだけでなく、それぞれの路線には識別アルファベットも設定されています。ほとんどの路線は路線名の頭文字。浅草線ならばA、丸ノ内線ならばM、千代田線ならばCといった案配です。このラインカラーと識別アルファベットを少し頭の片隅におけば、複雑な東京の地下鉄もいくらか把握しやすくなるはずです。

相互直通運転を理解しよう

東京の地下鉄の特徴は、山手線の外側では他の路線と相互直通運転をしていることです。例をあげれば、千代田線は代々木上原から小田急線へ、綾瀬からは常磐線各駅停車へ直通しています。この他路線への直通によって、都心から地下鉄に乗れば乗り換えることなく郊外に行くことができるというわけ。職場は都心、自宅は郊外という場合には実に便利です。

ここで相互直通運転について簡単に説明しましょう。相互直通運転とは、接続する路線の車両がそのまま互いに相手側に乗り入れる運転スタイルのこと。片方の路線の車両だけが乗り入れる場合は“片乗り入れ”と呼びます。東京の地下鉄の場合はすべて相互直通運転。これをやっていないのは、銀座線と丸ノ内線の2路線だけになっています。

2.東京メトロと都営地下鉄の違いとは

東京メトロは日本最古の地下鉄?

東京の地下鉄13路線のうち、9路線を運営している東京メトロ。最も古い銀座線は、1927年に浅草〜上野間で開通したことにはじまる日本で最古の地下鉄路線。最も新しい路線は副都心線。和光市〜渋谷間を結ぶ路線で、北側では東武東上線と西武池袋線へ、南側では東急東横線に直通しています。池袋〜渋谷間では山手線と並行していますが、副都心線は少し東(つまり山手線の内側)を走っているのが特徴。新宿三丁目駅は丸ノ内線や都営新宿線とも接続する地下鉄のターミナルになっています。

都営地下鉄はメトロの“補完”?

9路線を持つ東京メトロに対して、都営地下鉄はわずか4路線。いずれも東京メトロが通らないいわば“空白地”を通っている印象も否めません。特に、あえて秋葉原をわずかに避ける新宿線の岩本町駅などはまさにその代表といえるでしょうか。ですが、その存在感を侮ってはいけません。

たとえば、浅草線は南側で京急線、北側で京成線に直通。羽田空港と成田空港を結ぶ大動脈の一部になっています。新宿線は直通先の京王線と一体として見れば、東京を東西に結ぶ路線のひとつ。同様の路線にJR中央線や東京メトロ東西線があり、お互いに混雑緩和という重要な役割を果たしているんです。地下鉄にはこのように似たような場所を少し離れて走る路線が多く、満員電車を少しでも楽にする役割を持っています。戦後、東京は次々に地下鉄を建設して利便性を向上させるとともに、混雑の緩和も進めてきたんですね。

なお、東京メトロと都営地下鉄はあくまでも別事業者。もちろん運賃も別制度です。互いに乗り継ぐ場合には割引制度が適用されますが、東京メトロの路線同士の乗り換えほど便利ではありません。猪瀬直樹氏が東京都知事時代に両者を阻む壁を「バカの壁」と呼んだことも記憶が新しいですね。ここ数年は猪瀬元知事の号令もあって少しずつ“事業者の違い”による不便さは解消されてきています。

ポイントとなる駅を知ればすべてがわかる!

東京の地下鉄は、都心の地下を入り組んで走っているのが特徴です。そして都心部で互いに接続する“地下鉄のターミナル”ともいうべき駅をいくつか持って利便性を高めています。わずか20分程度の移動でも地下鉄を2度乗り換えるようなケースもありますが、それはこうした乗り換えの利便性が確保されているから。

そこで、次の4つの駅を覚えておくことをおすすめします。これが頭に入っているだけで、かなりスムーズな乗り換えが可能になるはずです。

大手町駅→丸ノ内線・東西線・千代田線・半蔵門線・都営三田線

日比谷駅→日比谷線・千代田線・都営三田線・有楽町線(有楽町駅)

飯田橋駅→東西線・有楽町線・南北線・都営大江戸線

永田町駅→有楽町線・半蔵門線・南北線・銀座線(赤坂見附駅)・丸ノ内線(赤坂見附駅)

3.東京の地下鉄をマニアックに楽しむ

地下鉄なのに地上に出る?

ある程度東京の地下鉄に乗り慣れてくると、最初に抱いたワクワク感はすっかりなくなって、むしろ辛い時間になってしまうかもしれません。実際、外が見えるわけでもないし混んでいるしせっかく座れてもどうせすぐに乗り換えないといけないし……。でも、何でも楽しむ姿勢は大切。そこで、ちょっとマニアックに地下鉄を楽しむポイントを。

東京の地下鉄は、地下鉄といっても地下ばかりを走っているわけではありません。中でもおもしろいのは銀座線と丸ノ内線。この両路線は、東京の都心を走っているにも関わらず、何度も地上と地下を行ったり来たりしています。

銀座線は渋谷駅付近で地上に出て、高架の駅ホームに滑り込みます。これは渋谷駅が文字通り谷底にある駅だから。地形に沿って地下を走ると急勾配が避けられないため、坂の途中で地上に飛び出しているわけです。

丸ノ内線はさらにダイナミック。四ツ谷駅と御茶ノ水駅、後楽園駅付近で地上に顔を出します。四ツ谷駅付近では地下鉄の“くせに”JR中央線よりも高いところにホームがある風景が見られます。後楽園駅付近では西側の台地から飛び出るように顔を出し、車窓からは東京ドームもちらり。そして御茶ノ水駅付近はまさにダイナミック。御茶ノ水〜淡路町間で外に出て神田川の渓谷を渡ります。

こうした出入りの多さは、東京都心の地形が意外と起伏に富んでいるから。平坦に見えて小さな登り坂や下り坂にあふれている東京の地形は、地下鉄だからこそ堪能できるものなのかもしれません。    

東京ドームをバックに走る丸ノ内線

レールの幅とパンタグラフの秘密

東京の地下鉄には東京メトロと都営の2種類があることはすでに説明しました。ただ、これは事業者を基準にした分け方。違う視点で分類すると、ひとつにレールの幅があります。

ほとんどの路線はJR線と同じ1067mmですが、京成・京急と直通する都営浅草線は1435mmと少し広くなっているんです(新幹線と同じです)。これを“標準軌”と呼び、銀座線と丸ノ内線も同様のレール幅を採用しています。また、都営新宿線は直通先の京王線にあわせて1372mm。全国的に見ても珍しいレール幅で、通称馬車軌道といいます。

もうひとつの分類法は、電気の集め方。いわゆる集電方式というもので、一般的にはパンタグラフを用いて空中の架線から電気を車両に取り入れています。ところが、銀座線と丸ノ内線にはパンタグラフがありません。車輪が乗るレールの横に3本目のレールがあり、そこに流れている電気を集電靴と呼ばれる装置を介して取り入れる方式。

また、大江戸線はさらに特殊。電気はパンタグラフを通じて取り入れているのですが、通常の電車とは違う“鉄輪式リニアモーター方式”を採用しています。リニアというと現在建設中の超特急が思い浮かびますがそれとは違うタイプ。詳しい説明は省きますが、知りたい人は調べてみてはいかがでしょうか。

たまには乗り慣れていない地下鉄路線にも乗ってみよう!

このように、東京の地下鉄13路線は複雑でわかりにくい印象がある反面、こだわって眺めてみると意外と楽しめるポイント、知的好奇心をくすぐるポイントがいくつもあるものです。わかりにくそうな乗り換えも、何度か使っているうちに自然と慣れてくることでしょう。

13路線もあるとだんだん乗る路線が限られてくるもの。自宅から勤め先への通勤路線、取引先やよく遊びに行く場所に通じている路線。そうなると、慣れた路線ならば目をつぶってでも乗り換えができるようになりますが、逆に慣れていない路線はちんぷんかんぷん、などということも。ならば、たまには乗り慣れない路線を訪れてみるのもいいでしょう。13路線の地下鉄を乗換案内アプリも使わずにさっそうと乗り継ぐ――。そんな東京人、かっこよく見えませんか?

東京 地下鉄 便利ガイド (地下鉄 路線図 | マップル) | 昭文社 地図 編集部 | Amazon

¥1,430(税込)

東京の地下鉄を上手に乗りこなすためのガイドブックです。地下鉄全215駅と、JR山手線29駅の駅と周辺情報を収録。駅の出口の景観写真と、向いている方向がわかる矢印付きで、もう出口で迷いません。

鼠入昌史/鉄道ライター

この記事のアドバイザー

鼠入昌史/鉄道ライター

全国の“なんの変哲もない”鉄道駅や路線を訪ね歩くのがライフワーク




この記事をシェアしよう

こちらの記事もおすすめ