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予防接種をはじめる前にもっと詳しく知ろう!

予防接種をはじめる前にもっと詳しく知ろう!

結核や麻疹など伝染のおそれがある病気の発生・拡大を防ぐために行われる予防接種。生後まもない子供をもつ親は、これから数年間、保健所に定期的に通い子供に数種の予防接種を受けさせる必要があります。予防接種には受ける義務のあるものと希望して受けるものがあります。ここで予防接種について詳しく見ていきましょう。

ニャートパイツ

この記事のアドバイザー

ニャートパイツ

記者・編集者として20年以上の実績があります。


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目次

1.予防接種の役割について知っておこう

「予防接種」と聞くと「痛い注射をするので嫌い」と思う人が多いのではないでしょうか? ではなぜそんな思いをして注射をするのでしょう。その理由について詳しく見ていきたいと思います。

予防接種の最大の目的は感染症の予防にある

予防接種をする理由は、当然のことですが、病気にかからないようにするためです。

なお予防接種で予防の対象となる病気は、「感染症」です。感染症とは細菌やウイルスなどが私たちの細胞に作用して発熱、下痢、嘔吐などの症状を起こさせる病気のことです(高血圧や糖尿病などの生活習慣病に対する予防接種はありません)。

今のようにさまざまな感染症に対するワクチンが存在せず予防接種が行われていなかった1948年以前は麻疹(はしか)や結核などの感染症で亡くなる人が多数を占め、日本人死亡率の1位が結核、2位が肺炎・気管支炎、3位が胃腸炎というように感染症で亡くなる人が大勢いました。とくに乳幼児の死亡率が高く、100人いたら5人以上は命を落としており、その原因の多くが感染症によるものでした。

しかし1948年以降、予防接種が義務化され国民に根付くことで結核や胃腸炎などの感染症で亡くなる人は激減し、結核を除くと今はほぼ皆無といった状態になっています。

予防接種ではワクチンという医薬品が使われる

予防接種の注射薬には「ワクチン」という医薬品が使われます。ワクチンとは結核、麻疹、日本脳炎、おたふくかぜ、インフルエンザなどの原因となる病原体を無毒化あるいは弱毒化した物質です。

予防接種でこれらのワクチンが身体の中に投与されることで、私たちの身体はワクチンに対する抗体を作ります。このとき作られた抗体が身体の中に残存することで、本当の病原体が来たときにその病原体を退治してくれるというわけです。

ワクチンにはさまざまな種類があります。

・4種混合ワクチン
・日本脳炎ワクチン
・MR(麻しん風しん混合)ワクチン
・BCG
・おたふくかぜワクチン
・インフルエンザワクチン
・Hib(ヒブ)ワクチン
・小児用肺炎球菌ワクチン
・B型肝炎ワクチン
・HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン


などのワクチンについては皆さん、どこかで耳にしたことがあると思います。ここでも紹介していきます。

予防接種では、ワクチンを体内に注入します

2.予防接種は受けなくてはならないの?

予防接種は主として乳幼児の死亡リスクを避けるために行われています。感染症の死者が多数発生していた1948年、日本では政府が12疾病(天然痘、百日咳、腸チフス、結核、ペスト、コレラ、インフルエンザなど)のワクチン接種を義務づけました。

しかし、予防接種を受けることで高熱が出る人、亡くなってしまう人が出たりしたことで、1994年以降は「義務」でなく、「努力義務」となり、接種を受けるかを決めるのは本人、もしくは保護者の判断に任せられることとなりました。

現在、予防接種は市区町村などの自治体が管轄しており、多くは公費で助成されるので無料あるいは低額で受けることができます。このような予防接種は受ける時期が近づくとたいてい市役所から知らせが届きます。

一方で、インフルエンザやおたふくかぜなどの予防接種は義務化されておらず、希望する人は実費を払って受けることになります。

赤ちゃんの時に予防接種を受けましょう

努力義務として受けることが推奨されお金を払わなくてよい予防接種

努力義務として受けることが推奨され、個人でお金を払わなくても受けることができる予防接種があります(市区町村が負担してくれます)。このタイプは、現在の予防接種法でいうと「定期接種・A類疾病」に該当するものです。以下、簡単に見ていきたいと思います。

<定期接種・A類疾病>

・4種混合(①ジフテリア、②百日ぜき、③ポリオ、④破傷風)ワクチン
2期に分けて受けます(全5回)。1期は生後3ヶ月から7歳6ヶ月まで(4回)、2期は11~12歳まで(1回)となります。ジフテリア、百日咳、破傷風は罹患すると死亡リスクが高く、ポリオは小児まひの原因になります。

・麻疹・風疹(MR混合)ワクチン
2期に分けて受けます(全2回)。1期は生後12ヶ月から24ヶ月の間に、2期は5~6歳のうちに受けます。麻疹は「はしか」とも呼ばれます。麻疹・風疹とも罹患すると激しい高熱とつらい発疹に苦しめられます。

・日本脳炎ワクチン
コガタアカイエカが媒介するウイルスによる症状を未然に防ぎます。2期に分けて受けます(全2回)。1期は生後6ヶ月から7歳6ヶ月の間に受け、2期は9~12歳のうちに受けます。

・結核(BCG)ワクチン
1歳になるまでに受けます(全1回)。戦後、結核は激減したとはいえまだ毎年2万人が罹患しており、子供が結核にかかると死亡や後遺症のリスクが高いことが知られています。

・水痘ワクチン
水痘(みずぼうそう)を予防するために受けます。1歳から3歳までに受けます(全2回)。

・Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン
2013年に定期接種・A類疾病のワクチンとして追加されました。生後2ヶ月から5歳になるまでに受けます(全1回)。インフルエンザ菌b型(毎年流行するインフルエンザウイルスB型とは違います)による髄膜炎、喉頭蓋炎、肺炎などによる重篤な症状を防ぎます。

・小児の肺炎球菌感染症ワクチン
2013年に定期接種・A類疾病のワクチンとして追加されました。生後2ヶ月から5歳になるまでに受けます(全1回)。接種により13種類の肺炎球菌に対する抗体がつくられます。

・B型肝炎ワクチン
1歳になる前に3回接種します。B型肝炎は乳幼児期に感染すると重症肝炎リスクが高くなることが知られており、これを防ぐため、2013年に定期接種・A類疾病のワクチンとして追加されました。

・HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの病気を予防するワクチンです。小学6年生から高校1年生ごろまでの女子が受けます。2種類(2価と4価)のワクチンがあり、どちらかを3回受けます(どちらを受けるかは医師と相談し、効果や副反応などを理解した上で本人が決定します)。HPVワクチンを接種することで痛みに悩まされるといった事例が見られたことから、厚生労働省は2013年6月から接種の積極的な勧奨を差し控えることを明言しています。それでも接種を希望する場合、市区町村に申し出れば無料で受けられます。

受けたい人が自分でお金を払って受ける予防接種

・インフルエンザワクチン
生後6ヶ月から12歳までの子供は2回受けます。13歳以上では通常1回受けます。インフルエンザワクチンは国が接種を推奨しているわけではないので個人が費用負担をすることになります。費用は医療機関によって異なりますが、相場は成人1回で税込3500円前後が相場のようです。市区町村によっては65歳以上の高齢者で低額で受けられる場合があります。

・ロタウイルスワクチン
2種類(1価と5価)のワクチンがあります。生後6週後からどちらか一方を受けることができます(どちらを受けるかは医師と相談し、効果や副反応などを理解した上で保護者が決定します)。1価ワクチンは2回、5価ワクチンは3回受けます。費用は全額負担となり、医療機関によって価格設定は異なりますが1万円以上は見込んでおくべきでしょう。

・おたふくかぜワクチン
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防します。1歳以降接種できます。費用は全額負担となり、医療機関の多くは2回の実施を推奨しています。1回あたり5000~6000円が相場となっています。
この他にも、A型肝炎ワクチン、髄膜炎菌ワクチンがあります。

病気になる前の予防の意味もあります

3.予防接種の最新動向を押さえておこう

予防接種の動向は何年かに一度、劇的に変わることがあります。ワクチンの開発については、日本よりも欧米の方が進んでおり、医学界ではこの「ワクチン・ギャップ」を埋める努力を続けています。

世界規模でワクチン開発は進んでいます

2013年の改正予防接種法で受けなければならない予防接種の種類が増えた!?

厚生労働省では欧米先進諸国との「ワクチン・ギャップ」を埋めるべく、2013年4月に予防接種改正法を施行しました。

これにより、Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン、小児の肺炎球菌感染症ワクチン、B型肝炎ワクチン、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、積極的に日本国民が受けるべきワクチン(定期接種・A類疾病)として追加されることになりました。

しかし、その後、HPVワクチンを接種することで慢性的な痛みやけいれんに悩まされるという副作用の報告が相次いだのです。これを受け、厚生労働省はこと2ヶ月後の2013年6月、HPVワクチンの積極的な接種勧奨の差し控えを公表しました。

現在はHPVの症例報告が蓄積され、HPVの安全性・有効性を示すデータが揃ってきてはいますが、いまだ積極的勧奨が再開されていません。現在、HPVワクチンについては、国が推奨していないとはいえ、公費助成が行われ無料で受けられるというややいびつな状態になっていることをぜひ覚えておいてください。

市区町村によって費用負担の割合が変わることもある

インフルエンザの予防接種は市区町村によって費用が変わる場合があります。たとえば子供のインフルエンザ予防接種は基本的に自己負担で、2回で6000円くらいかかるのが相場ですが、自治体(市区町村)では全額助成してくれるところもあります。

また高齢者(65歳以上)のインフルエンザ予防接種は多くの自治体で一部助成を行っています。その他、ロタウイルスワクチン、おたふくかぜワクチンなどの自己負担型の予防接種でも全額助成、一部助成してくれる自治体があります。

予防接種を受ける場合は市役所のホームページをよく見て確認しましょう。また自己負担の予防接種では医療機関によって金額が違うこともぜひ覚えておいてください。

数知れぬ人々の命を救い続けている予防接種

新たなウィルスへの脅威に対してもワクチン開発が必要です

1798年、ジェンナーの天然痘ワクチンに始まり、現在に至るまで転ばぬ先の杖として数知れないほど多くの人の命を守り続けている予防接種。冒頭でも触れましたが、1948年に予防接種が義務付けされてから感染症によって命を落とす人の数は劇的に減りました。

その一方で、今、世界は新型コロナウイルスという最新の感染症の猛威に晒されており、その治療法が強く望まれています。

予防接種については住んでいる地域によって実施体系が違っていますので、もし近隣ではやっているのにうちの市区町村ではやっていないという助成制度などを見つけたら市役所に掛け合ってみましょう。あらためて検討してくれるかもしれません。

ニャートパイツ

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