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【はじめての臨床心理士】こころの問題にアプローチする専門家である臨床心理士になりたい方へ

【はじめての臨床心理士】こころの問題にアプローチする専門家である臨床心理士になりたい方へ

臨床心理士は、人々の悩みや苦しみにそっと寄り添う仕事です。人気が高い臨床心理士になるには、指定大学院を出なければなりません。はじめて指定大学院を選ぶとき、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか。臨床心理士の資格試験合格対策も含めて、みていきましょう!

ぶちうに

この記事のアドバイザー

ぶちうに

スポーツ好き元塾講師


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目次

1.心の専門家「臨床心理士」とはどんな資格

臨床心理士とは

臨床心理士をよく知らない人でも、カウンセラーという名称は、聞いたことがあるのではないでしょうか。実は、「カウンセラー」というのは民間資格で、基本的には誰でも好きに名乗ることが出来るのです。しかし、臨床心理士という心理職の専門資格は、民間資格のなかでも最高峰の高度な資格です。心理学系の4年制大学を経て指定大学院に行き、所定の単位を修めて資格試験を受け、それに合格した人にしか与えられません。

公務員としてカウンセラーになって、学校や病院などの公共機関で活躍するには、臨床心理士の専門資格を取得する必要があります。現在は、公認心理師という国家資格が存在しており、現役で活躍する臨床心理士の多くは、公認心理師資格も併せて取得しています。

臨床心理士が知られるようになったきっかけ

臨床心理士が広く世間に知られるきっかけになったのは、1997年(平成9年)の神戸連続児童殺傷事件です。神戸連続児童殺傷事件の社会的影響は大きく、政府の決定により、全国の学校にスクールカウンセラー(臨床心理士)が配置されることになりました。その時から、臨床心理士は、先ず、スクールカウンセラーとして、学校の生徒達にとって身近なものになりました。

神戸連続児童殺傷事件以後、心理学といえば臨床心理学のことだと思われがちです。「心理学科に進学する」というと、「カウンセラーになりたいんだね」と返す会話が増えたことからも、臨床心理学の一般への浸透度が分かります。実際は、心理学という学問がカバーする範囲は非常に広く、認知心理学や実験心理学、発達心理学や教育心理学など沢山の分野があります。臨床心理学は、心理学の多くの分野の中の1つなのです。

臨床心理士って、どこで働いているの?

先程、スクールカウンセラーという仕事を紹介しましたが、臨床心理士は、多くの人が考えている以上に、広い分野で活躍しています。心理職は大きく分けると、医療、教育、司法、福祉・公衆衛生、産業、研究の6つの分野があります。1つずつ、みていきましょう。

1つめは、医療分野の心理職。心理系を扱う医療機関は、総合病院の精神科・精神神経科・心療内科・神経科、精神病院、メンタルクリニックなどです。また、小児科や、精神保健福祉センター関係の仕事も多くなってきました。医療分野での特徴は、子供から高齢者まで全ての年齢が対象になり、病状もさまざまであることです。医療的な基本知識と、専門的なカウンセリング技術・知識が必要になります。

2つめは、教育分野の心理職。主に、小・中・高の学校教育現場で、児童・生徒や保護者にカウンセリングをしたり、コンサルテーションを通して先生のサポートをしたりする心理職がスクールカウンセラーです。文部科学省は臨床心理士の資格を持つことを条件としてあげていますが、地域によっては学校心理士の資格でよいところもあります。また、資格がなくても大学院で心理学を専攻して臨床経験が2年以上と、学歴と経験が条件であるところもあります。

3つめは、司法分野の心理職。犯罪者や非行少年に、面接、観察、保護、検査などを行い、それらのサポートを通じて、社会復帰をめざすことを職務とする分野です。犯罪は社会背景に即して凶悪化する傾向にあり、特に未成年者の犯罪は増加傾向にあり、カウンセリングの技術だけではなく、犯罪心理学の知識も必要となっています。「家庭裁判所調査官」、少年鑑別所、少年院、刑務所の「法務技官」、保護観察所の「保護観察官」、科学捜査研究所など警察関連機関の「研究員」や「少年補導員」などが、主な職種になります。

4つめは、福祉・公衆衛生分野の心理職。分類される施設には、児童相談所、児童養護施設、精神保健福祉センター、老人福祉施設、リハビリテーションセンター、知的障害者援護施設、女性相談センター等があります。福祉関係の仕事は、心理判定、カウンセリング、訓練指導の3つです。訓練指導では、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、ソーシャルワーカーと連携して治療、教育、保育、生活指導を行います。児童が対象の場合は、学業も含めて療育と治療と教育をあわせて行っていくことが求められます。

5つめは、産業分野の心理職。産業分野の臨床心理士は、企業で働く人の心身の健康づくりをサポートする役割を担います。職場に保健室や医務室がある場合、そこにカウンセリング施設が併設されていたり、企業に付属する診療所などが担当したりすることもあります。最近では、社外のカウンセリング会社と提携・委託して、相談を受けられるようにする方式が多く見られるようになりました。企業内相談室、企業内健康管理センター、ハローワーク、障害者職業センターにも、臨床心理士は在籍しています。

6つめは、研究(大学)分野の心理職。大学での心理職は、大きく2つあります。ひとつは、大学で教員として学生に臨床心理学の講義をしたり、臨床心理学の研究をしたりするケースです。もうひとつは、学生相談室や保健管理センターといった大学内の相談機関のカウンセラーとして勤務するケースです。どちらかの立場のみで勤務する場合もありますが、臨床心理士の資格を持っている教員であれば、学生相談室のカウンセラーも兼務していることが多いです。逆に、学生相談室のカウンセラーが、普段は相談業務を行っていて、週に何コマか大学の講義をする場合もあります。

2.臨床心理士になるために

まず、臨床心理士になるまでをみていきましょう。高校を卒業したら、臨床心理士を目指す多くの人は、4年制大学の心理学系学部に進みます。その後、専門職大学院に進学するか、指定大学院で臨床心理学を専攻するコースに分かれます。指定大学院では、一定の臨床経験を積んで、資格審査を受けます。近年の改定で、新1種指定大学院を出た場合、臨床経験を積まずに、すぐ資格審査を受けられるようになりました。

専門職大学院と指定大学院の違いについて

・専門職大学院に進んだケース
専門職大学院は一般的に、大学の学部や大学院は「文化の発展」を目指す性質を有していますが、専門職大学院は「職業のための能力の養成」にクローズアップしています。ですので、専門職大学院を出た人を、「高度専門職業人」と呼びます。具体的には、法学、経営学、会計学、教育学、臨床心理学、技術経営、公共政策、公衆衛生学、知的財産、といった分野が専門職大学院の専攻となっています。専門職大学院のカリキュラムは職業養成に近いので、修了生は公的資格取得で優遇されることも多くあります。

専門職大学院の臨床心理学専攻の特徴は、卒業すると、臨床経験を積まずにすぐ資格審査を受けられるところでしょう。臨床心理専門職大学院修了者は、臨床心理士の試験の一部科目が免除されるなどの特典もあります。専門職大学院で教えられる学問は、その設置の目的からして、「実学」つまり直接的に社会の役に立つ学問に限られます。

・指定大学院に進んだケース
「財団法人 臨床心理士資格認定協会」の認定を受けた「指定大学院」に入学し、臨床心理士養成に関する大学院修士課程(博士前期課程)を終了するという、従来の方法もあります。「指定大学院」には、「1種指定校」と「2種指定校」があります。第1種指定大学院(臨床心理学専攻)の新1種指定校の場合も、同じく卒業するとすぐに資格審査を受けられます。第2種指定大学院(臨床心理学専攻)の場合、一定の臨床経験が必要となっています。

臨床心理士の資格取得試験を受けるのには、一般には、心理学系の大学から指定大学院に進学して、所定の単位を修めるコースをたどります。心理学系の大学に進学する際、できれば指定大学院が上に設置されている大学に進学するとよいでしょう。なぜなら、どこの大学も大学院と連動していることが多いからです。教授陣も、学部だけでなく大学院でも指導するケースも多いです。学部で勉強した内容を、同じ環境でより深めるという意味でも、できるだけ卒業した大学の大学院に入ることが望ましいといえます。

臨床心理士指定大学院の入試では英語が大事!

臨床心理士指定大学院の英語入試では、心理系の英文が出題されます。要するに、英文の内容が心理学なのです。心理系の英文を読解した上で、和訳、要約、その上に説明問題も課されます。問題のほとんどが、和訳問題で構成されているのが特徴です。大学院入試の英文を正しく読解するには、単語力と文法の知識が欠かせません。さらに、和訳問題では、英語の構文、修飾関係、英文法、単語をきちんと押さえないと、合格点をもらえる訳を作成することはできないのです。

心理学系英文には、「人間の特性を導き出すための実験について説明する」ことと、「心理学で用いられている理論や概念の由来について、専門用語を交えながら述べる」といった特徴があります。また、「テクニカルターム」と呼ばれる心理学の専門用語は、市販の単語帳には載っていません。英文で書かれている心理学の参考書や論文を読む能力が受験生に備わっているかどうかを判断されるので、心して勉強しましょう。

3.臨床心理士資格試験を突破するために

一次試験の内容

臨床心理士の一次試験対策は、多肢選択方式試験と論文記述試験の2種類があります。

・多肢選択方式試験
1つめは、100題のマークシートによる多肢選択方式試験(2時間30分)です。東京ビッグサイト等で行われています。多肢選択方式試験では広く心理学の基礎的設問と、臨床心理士の基本業務(4種)、臨床心理士に関する法律の知識、基本的な姿勢や態度にかかわる設問が設定されています。

臨床心理士の基本業務(4種)の中の設問では、臨床心理査定(面接や観察、検査などによるクライアントの包括的な理解)と、臨床心理面接(心理療法を用いた援助)、臨床心理的地域援助(コミュニティ心理学の視点)、それらの研究調査(臨床活動の根拠となる研究活動)、臨床心理に関する論理、等が問われます。

「多肢選択方式試験」では、臨床実践に於いて身についた経験と、総合的な知識が身についているかが問われます。専門知識の単語や用語などの暗記力や試験対策だけの知識や技術を勉強するだけでなく、実際に実習などで行った臨床実践体験に照らしながら、生きたものとして学ぶように、日頃から心がけておきましょう。

・論文記述試験
2つめの論文記述試験(1時間30分)は、「臨床心理に関する1題のテーマ」について、所定の解答用紙に1001字以上1200字以内の範囲内で、論述記載します。ポイントは、完結で論理的に内容を表現することと、厳密な字数制限内で内容をまとめることです。

二次試験の面接で聞かれやすいこと(口述面接試験)

一次試験が合格したら、二次試験を受けることになります。ここ数年は、東京国際フォーラム等で行われています。面接官は、ほとんどが男女1人ずつのようですが、中には両方男性のこともあるようです。面接室の大きさは、一概にいえませんが、大体、大学の演習室程度の大きさだと考えていただければよいでしょう。面接自体は、圧迫面接は少ないといわれています。しかし、面接官によって個人差はありますし、受験者の感じ方も人それぞれです。予め、聞かれそうなポイントを押さえていきましょう。

「今、どんな仕事をやっているのか」、「修士のときのケースでは、どんなことに気をつけてやっていたか」、「将来的にはどういった方向でやっていきたいか」、「今後、どのように勉強していきたいか」、「あなたにとって臨床心理の専門性とは(臨床心理士のアイデンティティは)?」、「スーパービジョンはどのように受けているか」、「臨床心理士を取得することの意味は?」、「マークシートの出来は?論述にはどんなことを書いた?」、「今の仕事を臨床心理士の4つの職務に沿って教えてください」。以上は、実際に面接官に聞かれた質問です。面接の際、参考になさってください。

臨床心理士資格試験の合格率
臨床心理士資格審査の近年の合格率は、毎年60%~65%前後を推移しています。平成30年度は63.6%でした。合格率だけ見ると、さほど難しい試験だと思いにくいかもしれません。しかし、大学院での専門的な勉強を経て受験している人ばかりなので、そもそもレベルの高い試験です。安易に合格率だけみて、気を抜かないようにしましょう。

一生、勉強し続ける覚悟を

臨床心理士は5年ごとに資格更新

臨床心理士は、5年ごとに資格更新が義務付けられています。所定の研修や学会に参加し、常に自己研鑽を積まねばなりません。人の心という目に見えないものを扱うことは、責任が重大です。なぜなら、心を扱うということは、クライアントの人生を任されているということと同義語だからです。ですから、カウンセラーが日々の勉強を怠り、惰性のカウンセリングになってしまうことは、たいへん危険なのです。

また、人々を取り巻く社会情勢や社会環境は日々、進化しています。クライアントの話の背景を想像するためにも、社会の変化も常にキャッチしておかなくてはなりません。
臨床心理士になることは、ゴールではありません。通過点です。一生、理論と実践の繰り返しの日々です。厳しいプロ意識が求められる職業だといえるでしょう。

安易な気持ちで目指すことは危険

最近は、臨床心理学がブームです。スクールカウンセラー等に出逢い、心が救われ、「私も臨床心理士になりたい!」という学生も多くいます。しかし、安易な気持ちで臨床心理士を目指すのは、危険です。「相談に乗るのが得意だから」「聞き上手と言われるから」といった動機を持つ人は多いですが、実は、学部時代は地味な基礎理論をしっかり学ぶことが必要になってきます。最初から人の話を聴く訓練ばかりはしません。

臨床心理士は、「人の心の機微を読み取る」、「言葉にならない言葉をすくい取る」感受性が必要になります。古今東西の文学作品(できれば近代文学)や哲学書にも、多く触れておいたほうが良いでしょう。クライアントの「言うに言われぬ」苦しみや、心理の中で起こる葛藤を言語化するのも、臨床心理士の大切な役割のひとつだからです。臨床心理士には、豊富な語彙力は必要不可欠です。文系でありながら、統計など理系の要素も多いので、高校まで文系・理系問わず、基礎学問をしっかり学んでおきましょう。

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